[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2021/01/20
抄訳記事公開日:
2021/03/08

シチズンサイエンスを持続的に科学システムに定着させる

Karliczek: „Wir wollen die Bürgerforschung in Deutschland nachhaltig im Wissenschaftssystem verankern“

本文:

連邦教育研究省(BMBF)は15のシチズンサイエンス(Citizen Science)プロジェクトをスタートさせることとし、概略下記のような報道発表を行った。

2021年1月中旬、連邦教育研究省(BMBF)が最長4年間資金提供する合計15のシチズンサイエンスプロジェクトを開始した。同プロジェクトでは市民自身が研究者となって、その専門知識や知識経験を発揮する。そうすることで、市民は科学がどのように機能するのかを直接経験する。同時に科学としては、新しいアイデア、視点、データにアクセスできる。加えて、社会への知識移転が加速される。これに関してカルリチェクBMBF大臣は以下のとおり説明した。

「今まさにCOVID-19の時代において、アカデミアと社会の安定した連携がいかに重要かつ価値あるものかが明らかになった。市民の科学研究に対する関心が、今の時代ほど大きくなったことはない。新しい助成プログラムにより、シチズンサイエンスはさらに拡大され、科学機関と市民社会組織との協力が強化される。15の新プロジェクトが総額900万ユーロでスタートする。これらは広範囲に及ぶもので、市民がアカデミアと一緒に、北極圏の画像を利用して永久凍土層を分析したり、希少疾病に関する新たな発見を試みたり、ソーシャルメディアの歴史的な画像の調査などを行う。

選考されたプロジェクトでは、市民社会組織から多くの様々な関係者がプロジェクトリーダーやプロジェクトパートナーとして参加しており、これによってシチズンサイエンスを持続的に定着にさせるための一歩を踏み出すことが期待され、これを歓迎するものである」。

11名の専門家からなる審査委員会は選考したプロジェクトをBMBFに推薦し、最初のプロジェクトが1月15日に作業を開始した。委員会議長レン教授(Prof. Ortwin Renn)は「申請されたプロジェクトアイデアのテーマの多様性に感銘を受けた。シチズンサイエンスが多くの科学分野において研究の一つの方法として受け入れたこと、そして従来の研究を質的に豊かにしたことが示された」と述べた。

背景:

最新の助成ガイドラインで、初めて市民社会がプロジェクトコーディネーターとして応募することができた。またプロジェクトの助成期間が最長4年までに拡大された。協力に必要なネットワークを築き上げるために、アカデミアと市民社会の間の協力が、安定した基盤と時間を必要としているからである。

シチズンサイエンスをさらに進展させ、科学システムの中に持続的に定着させるため、BMBFは助成ガイドラインの検証・評価を外部に委託した。今後4年間に、テクノポリス・グループがBMBFの市民研究強化に関するこれまでの助成活動を分析し、科学の実践、参加各機関の構造、参加市民研究者、科学者等におけるシチズンサイエンスプロジェクトの影響を調査する。

[DW編集局]