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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 国家科学技術会議(NSTC)
- 元記事公開日:
- 2021/01/15
- 抄訳記事公開日:
- 2021/03/09
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国家宇宙デブリ研究開発計画
- 本文:
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2021年1月15日付の国家科学技術会議(NSTC)による標記発表の概要は以下のとおりである。
軌道上のデブリは、有用な目的を果たさない、地球を周回する人工の宇宙物体として定義され、安全な宇宙飛行運用にとって重大かつ増大する危険をもたらしている。デブリは、数千に及ぶ使用済み上段部から、すべての軌道にまたがる数百万の微小な粒子(塗装の小片、衛星シールドの破片など)にまで及ぶ。デブリは、通常の打ち上げ・再突入運用、宇宙船表面の侵食、宇宙での物体(デブリなど)との衝突、軌道上での爆発、ミッション終了後も軌道上に残る機能しなくなった宇宙船、から生じる。
標記報告書は、宇宙デブリのリスク管理の3つの重要な要素を支援する研究開発活動の国家計画を示し、これら3項目のコア要素の中で、さらなる研究開発が必要な14項目のテーマ領域に重点を置いている。
1) 設計によりデブリの発生を制限する
宇宙船の設計時にあらかじめ考慮することで、新しいデブリの生成を制限できる可能性がある。この項目での研究開発優先課題は次のとおりである。
- 打ち上げ時のデブリを減らす
- 宇宙船表面のレジリエンスを向上させる
- 遮蔽と耐衝撃性を向上させる
- 断片化プロセスを削減または制限する設計開発を行う
- 操縦能力を高める
- 宇宙船とミッションの設計にデブリを最小限に抑えるためのミッション終了方式を組み込む
2) デブリを追跡して特性を把握する
デブリの追跡と特性把握は、効果的な緩和策と安全な宇宙飛行運用を可能にするために重要である。この項目での研究開発優先課題は次のとおりである。
- 軌道デブリと宇宙環境の特性を把握する
- 軌道デブリの追跡と特性把握を向上させる技術を開発する
- 軌道伝搬と予測におけるデブリ・データの不確実性を低減する
- デブリ・カタログのデータ処理、共有、フィルタリングを改善する
- デブリの追跡・特性把握に関する研究を運用能力に移行する
3) デブリを修復または転用する
デブリの積極的除去とも呼ばれる修復活動は、長期的には、主要な軌道面におけるデブリの影響のリスクを大幅に減らすことが可能である。転用もまた、リスクの軽減とデブリの除去に貢献する可能性がある。この項目での研究開発優先課題は次のとおりである。
- 大型デブリ物体の修復・転用の技術・手法を開発する
- 小型デブリ物体の修復の技術・手法を開発する
- リスクと費用対効果分析のモデルを開発する
[DW編集局+JSTワシントン事務所]