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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 米国科学振興協会(AAAS)
- 元記事公開日:
- 2021/01/19
- 抄訳記事公開日:
- 2021/03/17
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予算管理法(BCA)が、米国の研究開発投資に与えた影響の考察
The Budget Control Act May Have Cost Over $200 Billion in Federal R&D
- 本文:
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2021年1月19日付の米国科学振興協会(AAAS)による標記発表の概要は以下のとおり。
2011年に採択された予算管理法(BCA)は、10年にわたる裁量的支出の上限を定めた。これらの上限は現在の会計年度末に失効するため、最新のオムニバス予算パッケージは、上限の下で採択される最後の年間歳出予算となる。
当初、議会予算局(CBO)は、上限により、この10年間にわたって、裁量支出が2兆ドル近く削減されると見積もっていた。上限を部分的または完全に引き上げるいくつかの議会合意(最近では2019年)のために、実際に削減された支出額はそれより少ない。それでも、研究開発に資金を提供する連邦機関の過去10年間の実際の支出は、過去のレートをはるかに下回っている。AAASによる、過去の支出データに基づく計算では、「失われた」研究開発費は2,000億ドルを超える可能性があることを示唆している。議会と新政権は、失われた資金の埋め合わせを始めることができる。
上限がなかった場合の連邦政府の研究開発費を予測する場合、ベースラインについては、金融危機の前の最後の歳出年である2008年度までの30年間の過去の支出パターンを参照できる。研究開発の支出と裁量予算権限に関する行政管理予算局(OMB)のデータ、連邦研究開発支出に関する国立科学財団(NSF)データ、研究開発予算権限に関するAAASデータなど、様々な指標はすべて、2008年会計年度以前の30年間に6%近くの研究開発機関の年間成長率を示唆しており、具体的には、5.7%をその期間の連邦研究開発予算権限の成長率として使用できる。
合理的な仮定の下では、過去10年間での累積的な「失われた」連邦資金は、基礎研究と応用研究で960億ドル、研究開発全体で2,400億ドルに上る可能性がある。言い換えれば、研究開発機関が単に(従来の)歴史的なペースで成長したとしたら、今日の研究開発予算は約330億ドル、つまり20%増額となる。この「失われた」資金削減は、防衛および非防衛機関を含む連邦事業全体に及び、下記を含む。
国立衛生研究所(NIH)と退役軍人省(VA)の医療研究は、年間70億ドル以上の削減
エネルギー科学技術で年間10億ドル以上の削減
国立科学財団(NSF)は、年間20億ドル近くの削減
農業・環境研究は数億ドルの削減BCAで失われた研究開発費を取り戻し、従来の成長率に戻すためには、5年間で年率9.6%、あるいは10年間で年率約8%の成長が必要である。本年以降、立法府とバイデン政権は、研究開発費をBCA以前のレベルに戻すために、そのような回復戦略を検討する可能性がある。
[DW編集局+JSTワシントン事務所]