[本文]

国・地域名:
中国
元記事の言語:
中国語
公開機関:
中国科技網
元記事公開日:
2021/01/08
抄訳記事公開日:
2021/03/17

中国、天地一体化量子通信ネットワークの建設に成功

中国成功组建天地一体化量子通信网络

本文:

中国の科学者は、量子暗号通信の「京滬(北京―上海)幹線」と「墨子号」量子科学実験衛星を利用して、世界最初の700余本の地上光ファイバー量子鍵配送リンクおよび自由空間高速量子鍵配送リンクを集積させた広域量子通信ネットワークを完成させた。地上スパン4,600キロメートル、衛星・地球一体化の広大な範囲、マルチユーザー鍵配送を実現し、量子通信技術の応用レベルの高さを証明した。今後、全世界をカバーする量子暗号通信ネットワークの実現のために強固な科学技術の基盤となる。

通信チャネルの違いに基づき、量子鍵配送には主として光ファイバーおよび自由空間の二種類の実現方式がある。光ファイバー量子鍵配送技術のチャネル安定性は比較的良好で、温度、湿度、天気等の環境要素の影響を受けにくいが、光ファイバー固有の減衰特性により、光ファイバー量子鍵配送の伝送距離は百キロメートルのオーダーに制限される。自由空間量子鍵配送は大気層と宇宙空間の自由空間を伝送の媒体とし、光子は自由空間の中において低損失の特性を有し、これによって衛星プラットホームに基づく千キロメートル以上のオーダーの量子鍵配送を可能なものにしている。

「京滬幹線」は2017年8月末に完成し全長2,000キロメートルを超えた世界最長の中継プランに基づく量子セキュリティ鍵配送幹線である。現在すでに金融、電力、行政事務等の業種・機関の150余のユーザーがアクセスしている。研究チームは、高速量子鍵配送、高速高効率単一光子検出、中継伝送および大規模量子ネットワークコントロール、モニタリング等のキーポイントとなる技術的難問を解決した。安全性テストの結果は、「京滬幹線」が現在のすべての既知である量子ハッカー攻撃案を防御することができ、鍵配送量が1.2万以上のユーザーの同時使用をサポートすることができることを示している。同幹線は2020年にさらに500キロメートル量子鍵配送の実現に成功し、光ファイバー量子暗号通信最長距離の新たな世界記録を打ち立てた。

「墨子号」は2016年8月に打ち上げを成功させ、河北興隆地上ステーションと光リンクを構築している。1,200キロメートルの通信距離上において、衛星・地球量子鍵の伝送効率は同等距離の地上光ファイバーチャネルより20高いオーダーとなっている。最近、研究チームは南山地上ステーションにて、単段式衛星の地上ステーションに対する量子鍵生成速度毎秒47.8kb到達を実現し、以前より約40倍高くなっている。この他に、衛星と地上の安全コーディング距離を1,200キロメートルから2,000キロメートルに延長し、地上ステーションの俯仰角スパンは宇宙全体をほとんどカバーすることができ、そのチャネル損失は中高軌道衛星と地上の間の損失に相当し、将来の中高軌道衛星の量子応用通信のために実験的基盤を打ち固めた。2019年、国家電網有限公司は「墨子号」に基づいて北京から新疆に至る2,600キロメートルを跨ぐ量子鍵配送チャネルを構築し、電力通信データ暗号化伝送を実現し、衛星・地上量子通信の実際業務展開の可能性を工学的観点から初めて試みた。

[DW編集局]