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- 国・地域名:
- EU
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 欧州委員会(EC)
- 元記事公開日:
- 2021/02/05
- 抄訳記事公開日:
- 2021/04/12
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EUのエクイティ・ファンディングに関する分析報告および提言
Equity funding in the EU: new report sheds light on shortcomings in the EU finance landscape
- 本文:
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2021年2月5日付欧州委員会(EC)の標記発表の概要は以下のとおり。
ECの研究・イノベーション総局は、EUに存在する投資ギャップとその背後にある理由を特定する独立した専門家による報告の結果を発表した。以下では、報告書のエグゼクティブ・サマリーから抜粋した内容を示す。
エクイティ・ファイナンスでは、投資家は利益を保証されないが、代わりにその企業の潜在的な将来の収益を買う。そのため、エクイティ・ファイナンスは、クレジットの対象とならない少数のハイリスク・ハイリターンを特徴とする企業に適している。これは通常、高度なスケールアップが可能な革新的な企業の特徴である。このような企業は、ICT(情報通信技術)、ライフサイエンス、技術の各セクターでよく見られる。
エクイティ・ファイナンスは単なるファンディング以上のものである。資本投資に加えて、エクイティ投資家がベンチャー投資家であろうと、(ベンチャーキャピタル(VC)や未公開株式(PE)の構築でゼネラルパートナー(GP)に雇用されている)投資チームやセクター専門家であろうと、エクイティ投資家から広範なコーチングと付加価値のある支援が提供されることがよくある。ここでのインセンティブは明らかである。エクイティ投資家らは企業の一部を所有しているため、発展を加速させ、成長の可能性を高めるという明確な動機を有している。それには、起業エコシステムに積極的に関与し、最終的に革新的な企業を市場に投入するのに役立つ、知識豊富な外部パートナーと投資家が必要である。
● 欧州におけるエクイティ・ギャップ
最近の段階的な投資額の増加にもかかわらず、欧州のエクイティ市場は米国のエクイティ市場に遅れをとっている。
欧州のICTおよびライフサイエンス・セクターの規模は、(高リスクの資本を必要とするのはまさにこれらのタイプの企業であるため)、より発展したエクイティ市場の可能性を示している。ICT /ライフサイエンス・セクターの規模とVC投資の単純な相関関係は、欧州のリスク資本市場を約3分の1増加させる可能性を示唆している。このギャップは、革新的な高成長企業の可能性を十分に活用するためのリスク資本市場へのアクセスの欠如を示しており、最終的にはこれらのセクター内の経済成長の障害となる可能性がある。さらに、後期段階では、ファンディング・ギャップにより、企業は外国(例えば、米国または中国で)でファンディングを模索するようになる。これにより企業がEU域外に事業をシフトするまでになると、これはEUの成長をさらに妨げる可能性がある。
それにもかかわらず、我々はその差異を単にエクイティ・ファイナンスの供給不足とは解釈しない。因果関係も逆になる。革新的な新興企業と十分に機能するエコシステムの欠如は、リスク資本の需要の低下につながる。したがって、課題は、十分なリスク資本によるファンディングとともに、高品質でスケーラブルな新興企業が出現する、盛況なエコシステムを創出することである。
欧州諸国全体を見ると、エクイティ市場の成熟度には大きな違いがある。例えば、スウェーデンでは、エクイティ・ファンド(買収PEを含む)により、毎年GDPの1.5%以上(EU平均の約0.20%に対して)を調達している。ただし、ファンディング金額が大きいものは主に大型エクイティ・セグメントに関連しており、主にそれぞれの国以外に投資されていることに注意する必要がある。これは、大型エクイティ市場(例えば、買収PE)の非常に国際的な特徴を浮き彫りにしている。リスク資本(VCおよび成長PE)は、特に開発の初期段階では、小規模企業への投資にアクセスして管理するために必要な近接性(現地で扱うほうがベターである)のため、国境を越えて移動することがやや少なくなる。
ポートフォリオ企業への実際のリスク資本投資も欧州諸国間で異なるが、エクイティ資本全般と同程度ではない。フランスは毎年(約50億ユーロに相当する)GDPの0.20%以上を投資している高得点国の1つであるが、チェコ共和国はEUで最も低く0.01%程度である。
リスク資本市場の規模の拡大は緩やかであるが、過去10年間は着実に進んでいる。特に、欧州21カ国中15カ国が投資のプラス成長を経験しており、EUの平均年間成長率の約6%に貢献している。
● EUプログラムの評価と提言
- 一般的な評価として、エクイティ・プログラムに対するEUの支援は順調に進んでいる
基本的に、経済的観点から、公的支援の目的は、民間市場がより自立するようになるにつれて、公的投資家が支援を徐々に縮小できるようにするために、十分に機能する堅牢なエコシステムを構築することである。そうすることで、最も重要な側面は、公的資金が、投資したい民間投資家を圧倒したり、打ち負かしたりしてはならないということである。代わりに、公的支援は、必要に応じて事前のリスクを取ることにより、大勢の投資家を引き寄せることを目指すべきである。
一般に、EUのエクイティ市場への支援は、欧州のエコシステムの発展や個人投資家を引き寄せるという明確な意図を持って、上記原則に従っている。
- 提言
1) InvestEU プログラムの目的をよりシンプルにし、一般的な枠組みと事前に確立された原則の範囲内で実装パートナーに柔軟性を与える
すべての InvestEU 政策目標をカバーする単一のエクイティ商品の形成を可能にするべく、目標を合理化・簡素化するための InvestEU 内での継続的な取り組みを提言する。
実装パートナーの柔軟性を高めるために、InvestEU の目的と条件をよりケースバイケースのアプローチに準拠させる方法を検討することを提言する。
2) EUプログラムにおけるリスク吸収の境界を見直す
政策価値の高い特定のケースには、パリパス(平等な立場)以外のリスク共有の原則を遵守することにより、EUプログラムがより高いリスクを取ることを許可することを提言する。
3) 管理上の負担を軽減する
プロセスによって現在発生している負担を軽減する目的で、管理手順を再検討することを提言する。
4) 大規模な後期段階での汎欧州エクイティ・ファンドの出現を支援する
十分な規模の個人投資家を引き付けるモメンタムを生み出すために、後期段階のファンドへのEUの支援を強化して、ファンドあたり最大1億ユーロの投資ができるようにすることを提言する。そうすることで、EUの支援をバランスの取れた方法で非パリパスにすることができ、大勢の投資を引き寄せる可能性をさらに高めることができる。
5) 欧州のVCエコシステムへの強力な支援を継続する
欧州のVCエコシステムに対するEUの支援を維持し、(技術移転への貢献を強化することで)さらに強化することを提言する。
[DW編集局]