[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ヘルムホルツ気候イニシアチブ
元記事公開日:
2021/04/07
抄訳記事公開日:
2021/05/13

気候変動によってアレルギー症状だけが悪化するわけではない

Der Klimawandel verstärkt nicht nur Allergien

本文:

2021年4月7日付のヘルムホルツ気候イニシアチブによる標記発表の概要は以下のとおりである。

気候変動は我々に様々な影響を与えることから、気候保護は、常に健康を守ることでもある。気候変動により、たとえば酷暑、熱波、豪雨、暴風雨のような極端な事象が度々引き起こされている。これらは環境に悪いだけではなく、人体にも負荷となっている。気温の上昇がアレルギーと喘息の原因や結果に悪い影響を与えている。

ミュンヒェンのヘルムホルツ協会のクローディア・トライドル・ホフマン(Claudia Traidl-Hoffmann)氏は、「冬が穏やかだと、花粉の飛散が早くなり、全体的に花粉の時期が長くなることは注目に値する。すでに1月に最初のアレルギー患者が定期的に見られるようになっている。さらに、実際にはここに自生していないアンブロシアのような種が、まったく新しいアレルギーをもたらし、花粉のシーズンを秋にまで延長している。さらには、大気中の汚染物質がさらに多くのアレルゲンを生成するため、花粉はより危険なものとなっている」と語った。

同氏はさらに、「気候変動によって、アレルギー症状だけが悪化するわけではない。たとえば雷雨は、特定の条件下で喘息を引き起こす可能性がある。強風と雨が重なって、電気が花粉の殻を破裂させ、これにより、多くの小さな粒子が肺や気管支の奥まで入りこみ、感染症を引き起こす可能性がある」と語り、アレルギー患者が、何ができるのかとの問いに対しては、「アレルギー患者は病気を軽視せず、治療を求めるべきである。脱感作のような療法は、アレルギーに対してより適応性を高め、症状緩和または治療するための有効な方法である。花粉の飛散量を予測し、生活様式をできるだけ変えることも防御に役立つ。しかし、何かを実行し、根本的に生活様式と経済を変えねばならない。なぜならば、我々が気候変動を助長しているからである。まさに自身が座っている枝をのこぎりで切り落としており、健康を守る環境を保護する責任がある」と説明した。

気候変動と健康に関して、熱によるストレスも強い反応を引き起こす。たとえば体温の上昇により、強い発汗、血管の拡張、心拍数の上昇、血液凝固状態の変化などが起こる。

ヘルムホルツ協会のアンネッテ・ペータース(Annette Peters)氏は、「特に熱波の間の夜間の冷房の欠如は、心臓血液系を困難にする。とりわけ、都市環境における熱が空気中の汚染物質や騒音と組み合わさった場合、どのように健康に害を与えているかを知る必要がある。健康を害するのは熱だけではなく、温室効果ガスや危険物質によって汚染された空気も影響を与える。熱による心循環器系への健康についての影響は、空気汚染によってさらに悪化する。このことは、建物や他の環境要因への多重暴露によって、熱波の強い影響を受ける都市に住む人々に特にあてはまる」と述べている。

気候変動にどのように対処したらよいかについて、同氏はさらに、「これについては、4つの段階がある。第1段階は個人レベルで、熱や汚染した空気に晒されることのないようにすることである。次の医学的段階では、特に影響を受けた患者や敏感な患者を適切に治療する必要がある。第3段階では都市でのヒートアイランド現象から、人々の熱負荷を下げるための行動計画が必要である。第4段階、これが最も重要であるが、気候変動を回避しなければならない。世界的な温暖化を1.5℃に抑えるというパリ協定の履行が不可欠である。ドイツや世界中の多くの人々が極端な熱波に晒されないようにしなければならない。この熱波は、世界の平均気温の上昇によって増々繁雑に引き起こされ、より激しくなっている」と続けた。

[DW編集局]