[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立研究機構(ANR)
元記事公開日:
2021/03/18
抄訳記事公開日:
2021/05/14

「生物多様性の領域における人工知能研究」プロジェクト公募の開始

Lancement de l’appel à projets Challenge IA-Biodiv : « Recherche en intelligence artificielle dans le champ de la biodiversité »

本文:

2021年3月18日付国立研究機構(ANR)の標記発表の概要は以下のとおり。

ANR とフランス開発庁(AFD)は、人工知能(AI)に関する共同研究プロジェクトである「IA-Biodiv チャレンジ」の公募を開始する。この科学的挑戦は、国際共同研究方式に基づいて、生物多様性の変化を予測し、信頼できる指標を生み出すAI手法の開発に関する研究プロジェクトの支援を目的とする。このプロジェクト公募は、2021年8月31日まで受け付けており、人工知能研究国家戦略と生物多様性国家計画の一環で実施されるものである。

ANRとAFDが開始する「IA-Biodiv チャレンジ」は、次の3つの目的を中心に展開する。
・生物多様性研究向のためのAI手法の最適化
・革新的予測のモデルと指標の設計
・ハイブリッドAI手法の設計

● 生物多様性の変化をより正確に予測するためのAI研究

生物多様性とその進化に関する知識の発展は、生物多様性国家計画の中心にある、重要な科学的・社会的課題である。しかし、生態系間の相互作用の複雑さ、それらの相互作用とそこで行われる遡及効果や、データの不均一性に直面して、現在の指標は生物多様性の変化を予測する上で限界を示している。新しい専用ソリューションを用いることで、AI がこれに大きく貢献する可能性がある。フランスには、この大きな課題に対応するための国家AI研究プログラムがある。

● 重要課題であるデータの構造化

現在、データの構造化の難しさは、特に「生物多様性に関するIPCC」、IPBES(生物多様性・生態系サービスに関する政府間プラットフォーム)によって、生物多様性の知識に対する主要な障害の1つとして特定されている。このような状況を出発点として、この課題に特化した仮想研究環境構築のためにAIと生物多様性の科学コミュニティの専門知識を動員するために、「IA-Biodiv チャレンジ」が策定された。

● データ集合とAIモジュールの研究での活用を狙った「IA-Biodiv ネット」

国際審査委員会によるプロジェクトの評価・選抜の後、採択された研究チームは、特にこの環境の設計と開発に4年間協力して取り組む。

研究者によって研究者のために展開される「IA-Biodiv ネット」と呼ばれるこのネットワークは、データ集合、チャレンジに参加しているコンソーシアムによって開発されるAIモジュール、および運用コンソーシアムによって導入される評価モジュールをホストする。

● 科学的チャレンジと研究アプローチに関する集合的な考察

「チャレンジ」は、同じ問題に関するさまざまな科学的・技術的アプローチの同時研究を可能にするANRの特定のファンディングプログラムに対応する。これは、ファンディングを受けたコンソーシアムのアイデア、アプローチ、研究活動に対処し、それらを共有し、さまざまな背景を持つ科学コミュニティ間で共通のベンチマークの確立を促進することを目的としている。

IA-Biodiv チャレンジでは、ファンディングを受けたコンソーシアムの科学的モニタリングは、運営コンソーシアムが主導し、その研究活動は、提案されたAIソリューションの特性評価と共有を目的とした年次総会で評価される。このプロセスは、様々なコンソーシアム間の協力も促進する。

● 研究支援に480万ユーロを投じる「チャレンジ」

この研究チャレンジのファンディングには合計480万ユーロが動員される。ANR(150万ユーロ)とAFD(150万ユーロ)のパートナーシップと、「フェイスブック人工知能研究所(FAIR)」(180万ユーロ)からの寄付に支援される。

[DW編集局+JSTパリ事務所]