[本文]

国名:
ドイツ
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2021/04/13
抄訳記事公開日:
2021/05/24
元記事の言語:
ドイツ語

グリーン水素なしで気候目標達成とエネルギー転換は不可能

"Ohne grünen Wasserstoff werden wir unsere Klimaziele und die Energiewende nicht schaffen"

本文:

ドイツ連邦教育研究省(BMBF)のグリーン水素イノベーション担当委員であるステファン・カウフマン(Stefan Kaufmann)氏は、インタビューに応えて、将来のエネルギー源や国内外のエネルギー政策について、次のように語った。

グリーン水素に重点を置き、その技術開発に数十億ユーロのオーダーの予算を組んだ理由については、グリーン水素なしでは気候目標とエネルギー変換の達成は不可能であるからである。最先端のバッテリー技術だけでは不十分であり、エネルギー貯蔵媒体が必要である。電力の貯蔵と輸送がむずかしく、またグリーン水素なしでは産業界やモビリティと特定の応用分野で炭素中立は達成できない。「グリーン水素」の定義は、水素が再生エネルギーを使用した電気分解によって製造されていることであり、天然ガスなどの化石燃料から製造されるもので、製造過程で二酸化炭素が大気中に放出されないものを「ブルー水素」と呼び、製造過程で、二酸化炭素が大気中に大量に放出されるものを「グレイ水素」と呼んでいる。

産業界がグリーン水素を使用するための、プラントの転換費用を誰が負担するかについて、高炉を従来のコークスから水素使用へ変更するには、一つの高炉当たり8億ユーロ、ドイツの5つの鉄鋼メーカーを合せると200~300億ユーロのコストとなる。しかしそれが全てではない、バスやその他の交通手段の改造費用も追加となる。グリーン水素のコストは電気分解のコストをいかに削減できるかによる。また再生エネルギーのキロワット当たりの価格によって影響を受ける。現在のドイツのグリーン水素製造コストは、1kg当たりの6~8ユーロ、ブルー水素の2倍、グレイ水素の8倍となっている。

現在ドイツは、エネルギーを輸入しているが、将来もそれが続くであろう。しかし将来は化石燃料のかわりに、グリーン水素でつくられた再生エネルギーを輸入することになる。そこでドイツは技術を輸出し、グリーン水素を輸入する二重戦略を取る。これはドイツにはグローバルリーダーである設備メーカーが存在することからきている。

世界に技術を販売する前にしておくべきことについては、技術がどのようにうまく機能するかを実証する必要がある。そのための計画は、ヘルゴランド地方の東西にかけて大規模な洋上風発所を設置し、風力タービンの実証を含み、海水から塩と水素をつくり出す。これは水素を大量に製造できる可能性のある設備で、世界のどこであれ風が吹く場所への販売を予定している。

これに関する最大のプロジェクトは「H2ギガ(H2Giga)」で5億ユーロの助成金を用意している。さらに2つのプロジェクトにはそれぞれ1億ユーロを準備している。省庁間の連携が問題となるが、水素戦略全体として70億ユーロが用意されていて、BMBFに7億ユーロ、交通省(BMVI)と環境省(BMU)がそれぞれ16億ユーロで、残りの大半は経済エネルギー省(BMWi)である。BMVIは水素ステーション・インフラ、水素燃料電池技術などを、環境省は、工業界の脱炭素、たとえば高炉の改造などを行なう予定で、省庁間での擦り合わせも行なっている。

ドイツには、良好な技術基盤と優れた研究設備があるので、グリーン水素技術の世界的なサプライヤーであることを示し、早急にスタートしなければならない。水素技術に関しては、AIや量子コンピュータのように、出遅れていることはないが、ペースを落としてはならない。進める上では連邦政府、州政府、地方政府の責任の違いによる、規制の枠組み、認可プロセスについても、十分に考慮していく必要がある。

[DW編集局]