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- 国・地域名:
- 中国
- 元記事の言語:
- 中国語
- 公開機関:
- 中国科学院(CAS)高エネルギー物理研究所ウェブサイト
- 元記事公開日:
- 2021/03/31
- 抄訳記事公開日:
- 2021/06/02
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中国科学院・日中共同研究:「チベットAsγ実験」によりペタボルト級宇宙線源が銀河に存在する確証を提示
- 本文:
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高エネルギー宇宙線は、宇宙のどの天体から飛来しているのか、人工の加速器で生み出すエネルギーを超えるエネルギーにまでいかに加速されているのかはわかっていない。この問題は、今世紀初め、全米研究評議会がまとめた11の科学的課題の一つに数えられている。宇宙線の起源となる天体は、どの天体かはわかっていないながら、「ぺバトロン」と呼ばれてきた。
「チベットASγ実験」と呼ばれる本研究は、約30年に及び日本との協力により実施されている。中国チベット自治区羊八井の標高4,300mの高原65,000m2に多数の検出器を設置し、ミュー粒子検出器を地下に有効面積3,400m2に整備している。これにより、宇宙線の雑音を100万分の1にまで減らすことができる、鋭敏な検出システムを構成した。このシステムで400テラボルトから最高約1ペタ電子ボルトのエネルギー範囲での、人類史上最も高いエネルギーのガンマ線の観測に成功。併せて、既知のガンマ線放射天体の方向からは到来していないことを確認することで、「ペバトロン」の存在の決定的な証拠を得た。
同研究グループは、1か月前に、超新星の残骸から観測されたガンマ線の中では最も高いエネルギーである100テラボルト超のガンマ線を観測したこと及びその超新星残骸G106.3+2.7を初めて見つかったペバトロンの候補として発表している。
〔DW編集局+JST北京事務所〕