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- 国・地域名:
- EU
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 欧州委員会(EC)
- 元記事公開日:
- 2021/05/05
- 抄訳記事公開日:
- 2021/06/18
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2020年版産業戦略の更新:欧州復興に向けてより強力な単一市場を目指す
Updating the 2020 Industrial Strategy: towards a stronger Single Market for Europe's recovery
- 本文:
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2021年5月5日付欧州委員会(EC)の標記発表の概要は以下のとおり。
欧州委員会は、2020年3月に発表された産業戦略を更新した。更新された戦略では、当時の発表で設定された優先課題を再確認すると同時に、危機から学んだ教訓に応えて、復興を促進し、EUの開かれた戦略的自律性を強化する。特に危機時における単一市場の強靭性の強化を図るべく、新たな対策を提案する。主要な戦略領域における依存関係をより適切に把握する必要性に対処し、対策に必要なツールボックスを提示する。グリーン移行とデジタル移行を加速するための新たな手段を提供する。更新された戦略はまた、EU経済全体の競争力の主な指標である、単一市場の統合、生産性の向上、国際競争力、官民投資、研究開発投資を確認・監視するための要請にも応える。
更新された産業戦略は、次の主要領域に焦点を当てている。
● 単一市場の強靭性強化
欧州単一市場は、新型コロナウイルスの発生後、供給制限、国境閉鎖、分断によって厳しい試練を受けた。この危機は、単一市場における人、物、サービス、資本の自由な移動を支えることの本質的な必要性と、混乱に対する強靭性の強化に向けて協力する必要性を浮き彫りにした。この目的で、欧州委員会は、とりわけ、次のことを実施する。
・「単一市場緊急措置」を提案する。将来の危機に備えて、人、物、サービスの自由な移動の確保を目的とする構造的解決策。より透明性と連帯を保証し、製品の入手可能性を加速し、公共調達協力を強化することにより、重大な製品不足への対処に役立つものである。
・加盟国が新たな潜在的な障壁を特定して排除するための通知義務など、既存の義務を確実に遵守することを確保するために、「サービス指令」を完全施行する。
・各国の当局が能力を高め、製品検査とデータ収集のデジタル化の強化を支援することにより、製品の市場監視を強化する。
・中小企業の支援に多額の投資を動員する。中小企業への支払い遅延に対処し、中小企業に影響を及ぼすソフベンシー(支払い能力)リスクに対処するための手段を提供するために、裁判外紛争解決制度を立案・実施する。● EUの戦略的依存関係への対処
貿易と投資への開放性は、主要な輸出入国であるEUにとって、成長と強靭性の強さと源泉である。しかし、パンデミックはまた、技術および産業の両面の戦略的依存関係を分析・対処する必要性について、より広範な認識を引き起こした。そのため、欧州委員会は次の対応を行う(行った)。
・貿易データに基づいて「ボトムアップ」分析を実施した。EUに輸入された5,200の製品のうち、最初の分析では、EUの依存度が高くて影響を受けやすいエコシステムで137の製品(EUの商品の総輸入額の6%に相当)を特定している。主にエネルギー集約型産業(原材料など)や医療エコシステム(医薬品原料など)のほか、グリーン・デジタル変革の支援に関連する他の製品が関係する。34の製品(EUの商品総輸入額の0.6%に相当)は、EUでの生産のさらなる多様化や代替の可能性が低いので、潜在的により脆弱である。本分析では、高度技術の分野における課題や依存関係も示されている。
・原材料、バッテリー、医薬品有効成分、水素、半導体、クラウド・先端技術に関する6件の詳細なレビュー結果を示し、戦略的依存関係の起源とその影響に関するさらなる洞察を提供している。
・再生可能エネルギー、エネルギー貯蔵、サイバーセキュリティ等の、グリーン・デジタル移行の鍵となる製品、サービス、技術など、主要領域における潜在的な依存関係の第2段階レビューを開始し、欧州委員会の重要技術観測機構を通じて監視システムを展開する。
・国際的なサプライチェーンの多様化と、備えを強化するための国際的なパートナーシップの追求に向けて取り組む。
・産業界の連携こそが(他の手段では発展しない活動を促進する)最適な手段となる戦略的領域において、新たな産業界の連携を支援する。産業界連携は、それが民間投資家を惹きつけ、オープンで透明性があり競争に準拠した方法で、新しいビジネスパートナーシップやモデルについて協議が行われ、イノベーションと価値の高い雇用創出の可能性が生じる場合に支援を受ける。産業界の連携は、原則として幅広くオープンなプラットフォームを提供し、新興企業や中小企業の参加に特に注意を払う。
・欧州委員会は、プロセッサおよび半導体技術に関する産業連携、産業データ・先端・クラウド技術に関する産業連携の立ち上げを準備している。また、宇宙発射装置とゼロエミッション航空機に関する産業連携の準備を検討する。
・市場だけでは画期的なイノベーションを実現できない分野で、「欧州が共に関心を抱く重要プロジェクト」(IPCEI)を介して、EU予算からの可能な支援を受けて、公的資源をプールする加盟国の取り組みを支援する。
・相互に関心のある領域で他とオープンに協力しながら、ビジネスサービスの領域など、基準設定におけるリーダーシップを強化するための、戦略と可能な法改正を発表する。● グリーン・デジタル移行の促進
2020年版産業戦略は、EU産業のグリーン・デジタル移行を支援する行動を発表したが、パンデミックはこの変革の速度と規模に劇的な影響を及ぼした。したがって、欧州委員会は、グリーン・デジタル移行のビジネスケースを支援するべく次のような新たな対策を示している。
・必要に応じて、観光やエネルギー集約産業から開始して、産業界、公的機関、社会的パートナー、その他の関係者と協力して移行経路を共同策定する。
・「欧州のデジタルの10年(Europe’s Digital Decade)」と「Fit for 55」(2030年までに排出量を少なくとも55%削減するためのパッケージ)の目標を達成するために、一貫した規制枠組みを提供する。
・中小企業に対して、グリーン・デジタル移行を最大限に活用するための助言と支援を行う。
・グリーン・デジタル移行を支援するためのスキルアップや技能再教育への投資。 [DW編集局]