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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- ヘルムホルツ協会(HGF)
- 元記事公開日:
- 2021/05/19
- 抄訳記事公開日:
- 2021/06/29
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子供の健康を脅かす運動不足
- 本文:
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2021年5月19日付ヘルムホルツ協会(HGF)による標記発表の概要は以下のとおりである。
オンライン教育、少ない運動の機会、出会いの減少を生むロックダウンは、子供や若者たちに特に影響を与える。カールスルーエ工科大学(KIT)の研究所によれば、子供たちは、コロナ禍で精神的に苦しんでいるという。
子供は動けば動くほど肉体的にも精神的にも健康になる。KITはカールスルーエ教育大学と共に、ロックダウンが子供や青少年の健康にどのような影響を及ぼすかについて、運動能力・モジュール・縦断研究(MoMo)により調査した。
「メンタルヘルス、生理的幸福、自律性と親の関係、社会的支援、学校環境などの側面を調査した。子供達が動いているから健康なのか、それとも精神的に健康であるから、動いているのかが、大事な点である」と、学術誌「チルドレン」に現在発表しているKITのスポーツ・スポーツ科学研究所の研究員であるカトリン・ヴンシュ(Kathrin Wunsch)氏は述べている。
運動能力モジュールの研究者は、2003年以来ドイツの子供と青少年の運動能力と身体活動の調査を行なっている。
「外で遊んでも、サイクリング、ガーデニング、家事を楽しんでも、トレーニングや競技と同じ効果が得られるわけではない。加えて第2回目のロックダウンでこの状態は大幅に変化し、最新の調査によると、2021年には日常の活動量が急激に減少している」とKITのクラウディア・ニースナー(Claudia Niesner)氏は語った。パンデミックは子供や青少年の精神に悪影響を及ぼしている。「メンタルヘルスには多くの要因、たとえば孤独、将来の不安、またはホームスクーリングによるストレスなどが作用している」とヴンシュ氏は指摘する。「何よりもクラブスポーツには好影響を与える力がある。たとえばそこで行なう球技は楽しいが、子供達は現在それをすることができないのである」とニースナー氏は強調する。
ifo経済研究所によれば、子供達は今年始めのロックダウンで、テレビを見たり、コンピュータゲームをしたりまたは携帯電話を操作することに、一日に合計4.6時間も費やしている。KITの研究者は、運動不足が体の持久力や協調性に影響を与えるだけではなく、特にスポーツをしない家庭では子供の1/4に体重の増加があったと報告している。
「デジタル化が大きく進展した一方で、これまでほとんど顧みられてこなかった大きな問題が生じている。教育の時間が失われただけではなく、スポーツが教育において忘れられがちであり、これからは教育の中で、動くという視点でスポーツを理解し、これまでの空白の時間を取り戻すことが必要である」と、KITのスポーツ・スポーツ科学研究所長のアレキサンダー・ヴォル(Alexander Woll)氏は強調している。
学校にも運動クラブにも運動するための居場所がないのである。
「2020年に運動クラブは、6歳以下のメンバーの15%を失った。教育機関とスポーツクラブとの関係を再構築し、サポートしていく必要がある、スポーツクラブを孤立させてはならない」とヴォル氏は警鐘を鳴らしている。 [DW編集局]