[本文]
-
- 国・地域名:
- フランス
- 元記事の言語:
- フランス語
- 公開機関:
- 国立研究機構(ANR)
- 元記事公開日:
- 2021/06/07
- 抄訳記事公開日:
- 2021/07/20
-
食品添加物中の粒子:消化器系の健康に対する影響
- 本文:
-
2021年6月7日付国立研究機構(ANR)の標記発表では、ANRの PAIPITO プロジェクトに焦点を当てている。概要は以下のとおり。
多くの食品の添加物として使用されるミネラル素材は、住民により日常的に摂取されている。慢性炎症性腸疾患(MICI)の発症や悪化、およびヒトの食物アレルギーに対して、これらの摂取はどんな影響があるのか? これは、代替モデル・動物モデルに対する炎症の影響を評価し、これらの影響を細胞レベルで説明するメカニズム特定を目的とした ANR PAIPITO 研究プロジェクト(2017-2020年)の中心的課題である。原子力・代替エネルギー庁(CEA)(グルノーブル)の研究者で本プロジェクト・コーディネータのマリー・カリエール(Marie Carrière)氏がインタビューに応えている。以下はインタビューにおける質疑応答の一部を抜粋したものである。
● 二酸化チタン(TiO2、EUではE171)と合成アモルファスシリカ(SiO2、EUではE551)の粒子が特定の食品に存在する理由は? また、それらの影響を具体的に研究している理由は?
1960年代から認可された、E171およびE551は、現在、トン数で見ると食品に最も広く使用されている添加物の1つである。E171は、特にケーキ、菓子、歯磨き粉の白色着色用に使用され、E551は、特に凍結乾燥食品(スープ、ミルク、コーヒーなど)の固結防止剤として使用される。
腸上皮の生体外モデルで実施されたプロジェクトの予備研究では、E171が腸のバリア(腸を通過する有毒物質から生物を保護する)機能に破壊的な影響を与える可能性がある(Brun et al、Particle and Fiber Toxicology、2014)ことを示しており、その結果この研究を深化させたいと考えた。さらに、Sarah Bettini 氏が実施した研究(Bettini et al、Scientific Reports、2017)は、E171が腸に微小炎症作用を及ぼす可能性があることをげっ歯類の生体内で示している。これは曝露された動物の免疫不均衡を示し、経口免疫寛容の障害、すなわち食物アレルゲンに対する腸の反応を示唆している。これらのデータは ANR PAIPITO プロジェクトの出発点であり、その目的はE171への慢性的暴露の影響を評価することであった。また、腸のバリア機能、MICIの発症、食物アレルゲンに対する経口免疫寛容についてのデータがほとんどなかった E551についても同様である。
[DW編集局+JSTパリ事務所]