[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
原子力廃炉措置機関
元記事公開日:
2021/05/26
抄訳記事公開日:
2021/07/21

原子力発電所の廃炉における無人航空機 (UAV)活用の可能性

Unmanned Aerial Vehicles (UAVs) in Nuclear Decommissioning – Current Use and Future Opportunities

本文:

2021年5月26日付原子力廃炉措置機構(NDA)の標記発表の概要は以下のとおり。

無人航空機(UAV)の展開に関するケーススタディ情報を収集するために、NDA グループ全体の主要な連絡窓口とのインタビューが実施された。これには、UAV を使用する理由、UAV の調達方法、UAV によって運ばれたペイロード、展開の結果として得られた経験からの学習、に関する詳細が示されている。今後の開発領域は、他の業界におけるUAV 展開の評価、および進行中の研究開発作業に関する情報を基に選別された。上記に加えて、廃炉作業で UAV を商業的に使用するサイトライセンス会社(SLC)の存続可能性の情報を得るために、英国のUAV 市場の分析が行われた。

● NDA グループ内の UAV の現在の使用に関して、次の結論を導き出すことができる

・現場の資産の目視検査を支援する UAV システムの導入にすでに成功しており、グループ全体で UAV の利用による利益を得ることに強い関心がある。
・UAV の配備は、技術検査官が行った同じような調査と比較して、コストを削減し、配備時間を短縮し、安全性を向上させた。
・UAV は、SLCにより社内でも、また下請け業者を通じても配備されている。
・廃炉サイトは、開発中の UAV システムの実証試験の場として機能することができ、その採用やさらなる開発に役立つ可能性がある。
・UAV 導入に関しては、UAV を使用したことがないサイトから、1 年間の定期検査を支援するために UAV を使用しているサイトまで、グループ全体でさまざまな経験レベルがある。それぞれの経験をグループ全体で共有することは、グループの UAV 能力を開発するための絶好の機会になる可能性がある。

● 英国の UAV 市場に関して

・市場は時間の経過とともに成長すると予想されており、幅広い UAV サービス・技術を提供している。これらは、技術・イノベーションの進歩に伴って機能が向上する。
・原子力市場は、審査要件によりサプライヤの数が減少すると予想されるが、利用可能なサービスの範囲と多様性が期待されるため、買い手市場になると予想される。
・廃炉置機関向けの市場では、Make と Buy の両方のオプションを利用できる。

● UAV セクター内の今後の展開が、規制の観点から、また短期・中期・長期的に、他の産業におけるUAV使用および進行中の研究開発作業に基づいて、また英国の廃炉措置セクターが直面している潜在的な課題の観点から、評価された。

・規制の進展は、高度な UAV 技術の展開に対する大きな障壁または実現要因になる可能性がある。
・英国の規制当局は一般的に、民間航空局(CAA) に積極的かつ慎重だと見なされているが、規制が外部の事象 (事故など) の影響を受ける傾向を過小評価してはならない。
・短期的に、英国の廃炉サイトでUAV使用の可能性が高いのは、サイト資産の BIM (Building Information Modeling)データの収集を支援し、サイト・ インフラの監視を支援することである。さらに、UAV が電離放射線の位置と強度に関するデータを収集する能力も活用される可能性がある。
・中期的には、規制の変更により、UAV は外部の BVLoS (Beyond Visual Line of Sight:目視外)飛行を行うことができるようになる可能性が高くなる。これにより、中央制御エリアからの遠隔操作が可能になる。これと並行して、UAV 内の自動化システムにより、パイロットによる高度な制御が可能となる、UAV システムは障害物を自動的に回避したり、環境の変化に反応したりできる。バッテリー技術、ペイロード設計、UAV 素材の改善により、飛行時間が長くなる可能性がある。エフェクター・ ペイロードの使用も、より一般的になる可能性がある。すなわち、構造を修復又はパッチするためのシステム、障害物を取り除くためのシステムなどである。UAV が群状システムの一部として連動動する機能も、ますます一般的に使用される可能性がある。
・長期的には、UAV は、人員あるいは放射性廃棄物などの大型のペイロードを、サイト内、またはサイトから地層処分施設(Geological Disposal Facility : GDF)や保管施設等に自動的に移送し得る。電力供給の新たな方法を使用して、UAV に事実上無制限の飛行時間を与えられる可能性がある。

[DW編集局]