[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2021/06/15
抄訳記事公開日:
2021/08/10

研究砕氷船ポーラーシュテルンによるMOSAiC北極探検の最初の中間報告

Karliczek: „MOSAiC-Expedition ist Meilenstein für die Klimaforschung“

本文:

2021年6月15日付のドイツ連邦教育研究省(BMBF)による標記発表の概要は以下のとおりである。
極地からの帰還後9か月で、カルリチェクBMBF大臣、探検リーダーのマルクス・レックス氏(Markus Rex)と海氷物理学者シュテファニー・アーント氏(Stefanie Arndt)は、最初の中間報告を発表した。
ベルリンでの記者会見で、カルリチェク大臣は、MOSAiCミッションを「最高の探検」と呼んだ。実際にこの極地への航海は、おそらく史上最大の北極研究探検だっただけではなく、史上最大の気候探検でもあった。
ドイツの研究砕氷船「ポーラーシュテルン」は、2019年9月に出航し、1年間北極海の氷の中を航海した。この間に80の国際的研究機関から300人以上の科学者が参加し、継続的に100以上の環境パラメータの測定を行なった。
カルリチェク大臣は、「北極地方における気候変動を理解する上で、ひいては温帯地域の気候変動を理解する上で、重要なデータを収集することができた。MOSAiCがこれまで以上に気候変動の震源地を突き止めることができ、ミッションはこの課題を掘り下げて探究する予定である。」と述べた。
アルフレート・ヴェーゲナー研究所(Alfred-Wegener-Institut)が発表した探検隊の最初の調査結果によれば、状況の深刻さと行動の必要性がどれほど大きいかが明らかとなった。
同大臣は、「この中間報告が強調していることは、連邦政府がドイツの気候目標を今一度厳しく設定することの正しさである。気候変動を理解して初めて、十分に根拠のある政治的決定により、気候変動に対処できるのである」と強調した。
探検隊リーダーのレックス氏は、MOSAiC探検隊が北極の氷の状態をはっきりと観察したと述べ、また、海氷物理学者のアーント氏は、「現世代の研究者は、夏でも連続した海氷カバーを見ることのできる最後の世代かもしれない」と指摘した。
レックス氏は「今後数年間の評価によって初めて、一貫した気候保護により通年で北極海の氷を守ることができるか、または気候システムの重要な転換点をすでに越してしまっているのかがわかる」と続けた。
カルリチェク大臣は、パリ会議の気候目標の達成は、CO2の除去によってのみ可能となるであろうと明言すると共に、「今、この研究に投資する必要がある。第一段階として、CO2を如何にして海洋や地中に貯蔵するかに関する2つのプログラムに対して、5,000万ユーロを拠出する」と付け加えた。

[DW編集局]