[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
米国科学振興協会(AAAS)
元記事公開日:
2021/06/22
抄訳記事公開日:
2021/08/10

バイデン政権の2022年度研究開発予算要求の概要

Some Facts About the Biden R&D Budget

本文:

2021年6月22日付けの米国科学振興協会(AAAS)による標記記事の概要は以下の通りである。

5月下旬に公表された2022年度予算要求では、非国防研究の省庁の予算が大幅に増加し、応用科学に重点が置かれている。大統領府と各省庁の研究開発予算要求を総合的に分析した結果、大統領府は2022年度の研究開発費として8.9%(140億ドル)増の1,720億ドルを要求している。特に増加しているのは、開発ではなく基礎・応用研究の予算と、研究開発施設(研究所新設や近代化、設備購入などを含む)の予算である。AAASの試算によると、GDPに占める研究開発費の割合は、バイデン大統領の要求によって0.73%にまで上昇する。これに国防総省(DOD)の支出(約500億ドル)(※)を追加し、研究開発費の合計を調整すると、歴史的に比較可能な基準で、研究開発費の対GDP比は0.94%になる。
(※DODの予算区分のうち、定義上、連邦政府の「研究開発費」に計上されない分)

バイデン政権の意図的な選択の結果、研究開発費は国防と非国防とで明暗が分かれている。国防総省(DOD)の裁量支出は7,530億ドルに達し、1.6%の増加にとどまっている。このため、DODは科学技術プログラムの優先順位を明らかに下げている。一方、非国防の裁量支出は、16.5%増の7,700億ドルに達する。これにより、幾つかの大規模な研究開発費が増額されることとなる。
国防研究開発では、研究プログラムは基礎研究への3億ドルの削減を含め、基礎、応用、先端技術のいずれも2021年度から2桁の削減に直面している。

今回の予算要求では、技術開発、利用、および社会的影響を与える応用科学に特に重点が置かれている。エネルギー技術や気候に関するプログラムは、そのわかりやすい例である。発見科学の重要な資金提供者である国立科学財団(NSF)では、幹部が掲げる応用志向の精神が予算に反映されている。NSFは、すべての分野で堅調な伸びを示しているが、政権が推進する新しい技術・イノベーション局や、バイオテクノロジー、製造、マイクロエレクトロニクスなどの産業革新に焦点を当てた基礎研究プログラムで、やや大きな増加が確保されている。また、国立衛生研究所(NIH)の予算にも、応用志向の考え方が反映されており、政権は医療高等研究計画局(ARPA-H)の新設を提案している。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]