[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2021/06/30
抄訳記事公開日:
2021/08/19

欧州委員会が「がん対策知識センター」を立ち上げ

Commission launches Knowledge Centre to fight cancer

本文:

2021年6月30日付欧州委員会の標記発表の概要は以下のとおり。

欧州委員会(EC)はこのほど、「欧州がん撲滅計画」の下で実施される最初の重点施策である「がん対策知識センター(Knowledge Centre on Cancer)」を立ち上げた。この知識センターは、欧州における65歳未満の死因第1位に対する、証拠の収集および施策調整を狙った新たなオンラインプラットフォームである。がんに関する最新の証拠をマッピングし、医療ガイドラインと品質保証スキームを提供し、EU全体のがんの発生率・死亡率の傾向を監視・予測する。知識センターはまた、がん対策に投資するすべての人が、ベストプラクティスを共有し、協力し、調整して、我々の集合的な知識と、証拠に基づく科学を最大限に活用できる場でもある。

● 知識センターの役割

がん対策知識センターは、ECのがんに関する既存のITシステム、ゲートウェイ、ポータル、プラットフォーム、データベースを拡張しながら、政策に対して証拠に基づいた支援を提供する独立した知識仲介組織であり、下記を実施する。
・がんに関する最新の証拠と統計をマッピングして提供する。
・がんの傾向を監視することで、予防戦略とスクリーニング・プログラムの有効性の評価を可能にする。
・がんの転帰を改善し、EU地域間の不平等を減らすために、がんの予防、スクリーニング、診断、ケアに関する欧州ガイドラインを提供する。
・タバコやアルコールの抑制など、環境や健康的なライフスタイルに関連するがん予防の方針策定を支援する。
・研究または政策上のギャップを特定する。
・1つのプラットフォーム上での多くのがんイニシアチブを統括するための場を提供する。
・EU全体でのがんの予防・ケアにおける不平等縮小に資する。

このプラットフォームは、「健康増進・疾病予防知識ゲートウェイ」を通じて、予防に関する政策策定向けの基準点を提供する。また、がんの予防、スクリーニング、診断、ケアのための、欧州がん情報システムおよび欧州ガイドラインと品質保証スキームも提供している。

● 背景

上記知識センターは、現欧州委員会(EC)の保健分野における最優先事項であり、強力な欧州保健連合の重要な柱である、欧州がん撲滅計画の主力イニシアチブである。この計画では、EUにおけるがんの負担軽減を狙った新たな野心的なアプローチを設定し、EUが最大の価値を付加できる施策に焦点を当て、がん患者と生存者の予防から生活の質に至るまでの疾患経路全体にわたって取り組んでいる。さらに、予定されている Horizon Europe のがんミッションは、がんの研究・イノベーションにおけるEU投資の主要な要素であり、がん撲滅計画の主要施策の多くに情報を提供し、患者に対しては政策と革新的な解決策の新しい概念を提示する。

がん対策知識センターの運営は、ECの共同研究センター(JRC)の科学者らが行う。彼らは、他の知識センターの主導とがんの両方の専門能力を備えており、そうするのに適した立場にいる。彼らの実体験には、スクリーニング、診断、ケアの改善ガイドラインの提供、がん予防のベストプラクティスの整理統合、およびがんデータの潜在力を解き放って、がんの苦痛の監視・予測することなどがある。
がん対策知識センターは、ECの10番目の知識センターであり、共同研究センターのリーダーシップの下で立ち上げられる9番目のセンターである。生物多様性、バイオエコノミー、地球観測、世界の食糧・栄養安全保障、領土政策、移住と人口統計、災害リスク管理、食品の偽装と品質、通訳(通訳総局が率いる)に関してすでに確立されているものに追加される。

[DW編集局]