[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2021/07/19
抄訳記事公開日:
2021/09/06

デジタル主権:半導体と産業用クラウド技術に関するアライアンスが始動

Digital sovereignty: Commission kick-starts alliances for Semiconductors and industrial cloud technologies

本文:

2021年7月19日付欧州委員会(EC)の標記発表の概要は以下のとおり。

欧州委員会はこのほど、2つの新たな産業アライアンスを始動させる。プロセッサ・半導体技術アライアンス、および産業データ・エッジ・クラウドに関する欧州アライアンスである。2つの新たなアライアンスにより、次世代のマイクロチップと産業用クラウド・エッジコンピューティング技術が進歩し、EUの重要なデジタルインフラ、製品、サービスの強化に必要な能力がEUにもたらされる。このアライアンスには、企業、加盟国の代表、学界、ユーザー、研究・技術組織が参加する。

● プロセッサ・半導体技術に関する産業アライアンス

プロセッサなどマイクロチップは、今日使用しているすべての電子デバイスやマシンにパワーを供給する重要な技術である。チップは多種多様な経済活動を支え、エネルギー効率とセキュリティレベルを決定する。プロセッサやチップの開発能力は、今日の最先端経済の将来にとって極めて重要である。プロセッサ・半導体技術に関する産業アライアンスは、この分野におけるEUのさらなる産業発展にとって重要な手段となる。

産業界全体の現在のボトルネック、ニーズ、依存関係を特定して対処する。欧州が2030年までに半導体の世界生産のシェアを20%に増やすことによって全体的な戦略的依存度を減らしながら、最先端のチップを設計・生産する能力を確保するための技術ロードマップを策定する。

この目的に向けて、本アライアンスでは、次世代の信頼性の高いプロセッサ・電子部品の生産に必要な設計・製造能力の確立を目指す。これは、欧州の現在のニーズを支援するために16ナノメートル(nm)から10 nmのノード、および将来の技術ニーズを見越した5nmから2nm以下のノードの生産能力を欧州にもたらすことを意味する。最先端のタイプの半導体はより高性能であり、電話からデータセンターまであらゆるものが使用するエネルギーを大幅に削減する可能性がある。

● 産業データ・エッジ・クラウドに関する欧州アライアンス

「欧州データ戦略」で強調されているように、生成されるデータの量は大幅に増加しており、データのかなりの割合が、ユーザーに近くデータが生成される場所のエッジで処理される(現在の20%から2025年までに80%)と予想される。この変化は、EUが独自のクラウドとエッジの能力を強化し、それによって技術主権を強化する大きな機会を示している。それには、完全に集中化されたデータ処理インフラ・モデルから脱却して、エッジなど根本的に新しいデータ処理技術の開発と展開が必要になる。

産業データ・エッジ・クラウドに関する欧州アライアンスは、安全性が高く、エネルギー・リソース効率が高く、完全に相互運用可能な画期的クラウド・エッジ技術の出現を促進し、すべてのセクターにわたるクラウドユーザーの信頼を促進する。本アライアンスは、クラウド・エッジ技術に関するEU産業界の競争力を高めながら、機密性の高いデータを処理するためのEU市民、企業、公共部門の特定のニーズ(軍事およびセキュリティ目的を含む)に対応する。

[DW編集局]