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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- フラウンホーファー協会(FhG)
- 元記事公開日:
- 2021/08/02
- 抄訳記事公開日:
- 2021/09/24
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心房細動検出用のエネルギー効率の高いAIチップ
Energieeffiziente KI-Chips für die Erkennung von Vorhofflimmern
- 本文:
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2021年8月2日付フラウンホーファー協会(FhG)の標記報道発表の概要は以下のとおりである。
人工知能(AI)システムは、医療を改善し、患者の回復の可能性を高め、医師の診断をサポートすることができるが、問題はAIが大量の電力を消費することである。フラウンホーファーの集積回路研究所(IIS)および技術・経済数学研究所(ITWM)は、将来、心房細動の早期発見に役立つであろう省エネ型AIチップのソリューションを開発した。この2つの研究所は、連邦教育研究省(BMBF)のパイロット・イノベーション・コンペティション「高エネルギー効率AIシステム」で、そのアイデアが1位を受賞した。
患者データを評価するためのアルゴリズムは、計算量が非常に多く、その結果エネルギー消費量が大きくなる可能性がある。しかしランタイム、すなわちモバイルシステムの信頼性は、そのエネルギー消費量によって決まることから、モバイル・アプリケーションでは、ハードウェア上の評価アルゴリズムを、高いエネルギー効率で実行できるようにすることが、最優先事項である。
2つのフラウンホーファー研究所が1位:
コンペティションの課題は、AIチップが少なくとも90%の精度で心房細動を検出し、これをリアルタイムで分類、エネルギー消費量をできるだけ少なくすることであった。今回の受賞により、FhGがドイツのAIとマイクロエレクトロニクスの適用において最前線にいることの証明ができた。IISチームはASIC130ナノメートル・カテゴリーで、ITWMは、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ)カテゴリーで受賞した。
プロジェクトLo3-ML信号処理がスリ-プモードになる:
IISの科学者であるブライリング博士(Dr.Marco Breiling)氏は次のように説明する。「AIチップの一部の信号処理を、必要とされない鍵、スリープモードにする。チップは心電図(ECG)信号を12.7秒間収集し、わずか24ミリ秒の時間(0.2%の時間)で処理する。したがって、処理は99,8%以上の時間がスリープモードとなり、ほとんどエネルギーを消費しない。システムの一部である不揮発性RRAMメモリによりエネルギー消費なしで、ほぼ12.7秒後に目を覚ました直後に信号処理を再開することができる」。
プロジェクトHALF(FPGA用ホリスティック・オートML):
ITWMの研究チームは、コンペティションで、ハードウェアのエネルギー消費量とニューラル・ネットワーク・トポロジーに重点を置いた。エネルギー効率については、心房細動の検出に必要最小限の演算回数を行うことで、高いエネルギー効率が得られるはずである。
AIモデルがハードウェアのエネルギー消費量を決定する:
研究者達はAIモデルが、ハードウェアのエネルギー消費量に影響を与えるため、ニューラル・ネットワークだけではなくハードウェアにも目を向けた総合的なアプローチで、「自動機械学習」とよばれる方法を発展させている。カイザースラウテルン工科大学(TU Kaiserslautern)で開発されたソフトウェアツールを使用すると、ニューラル・ネットワークは、FPGAに転送され、ECGデータを自動的に評価することができる。このアプローチにより、従来よりもエネルギー効率が高いだけではなく、最適なニューラル・ネットワーク・トポロジーとそれに対応するFPGA実装のための開発時間を短縮することができる、新しい統一した方法論がもたらされた。 [DW編集局]