[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
国立科学研究センター(CNRS)
元記事公開日:
2021/08/16
抄訳記事公開日:
2021/09/29

明日の電子メモリのための、イオンを情報ベクターとして利用する人工ニューロンの開発

Un neurone ionique artificiel pour les mémoires électroniques de demain

本文:

2021年8月16日付国立科学研究センター(CNRS)の標記発表の概要は以下のとおり。

脳にヒントを得たエレクトロニクスが、熱心な研究の対象となっている。これに関連して、CNRSおよび高等師範学校・PSLの科学者らは、情報のベクターとしてイオンを神経細胞のように使用する人工ニューロンの開発を理論的に示している。2021年8月6日付の Science誌に発表されたその研究は、グラフェン・ナノスリット内のイオンを運ぶ水の単層からなるデバイスがニューロンと同じ伝送容量を持っていることを示している。

人間の脳は、1日に2本分のバナナに相当するエネルギー消費に対して、多数の複雑なタスクを実行できる。その高いエネルギー効率は、特にその基本単位であるニューロンに依存する。ニューロンは、受け取った刺激に応じて開閉するイオンチャネルと呼ばれるナノメートルの細孔を持つ膜を持っている。結果として生じるイオンの流れによって、電流が発生し、神経細胞間の通信を可能にする信号である、活動電位が発生する。

・人工知能(AI)は、人間の頭脳の数万倍のエネルギーという犠牲を払う場合のみ、人間の脳を超えられる。
・脳と電子システムの主な違いは、ニューロンが情報のキャリアとして電子ではなくイオンを使用することである。
・フランスの科学者らは、情報のベクたーとしてイオンを使用して人工ニューロンを理論的に考案した。

[DW編集局+JSTパリ事務所]