[本文]
-
- 国・地域名:
- 英国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)
- 元記事公開日:
- 2021/09/22
- 抄訳記事公開日:
- 2021/10/25
-
国家AI戦略
- 本文:
-
2021年9月22日付のビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)の標記発表の概要は以下のとおり。
英国を世界の人工知能(AI)大国にするための10ヵ年計画:今後10年間で、英国や世界のビジネスに対するAIの影響は甚大になる。英国の大学やスタートアップ企業は、新しい経済のためのツールの構築において、すでに世界をリードしている。英国の大学や企業から、新しい方法で学習しヒトを支援・補助する機械の能力を活用するための新しい発見や方法が日々出現している。
人工知能(AI)は、世界で最も急速に成長している“ディープ・テクノロジー”であり、産業界全体のルールを書き直し、大幅な経済成長を促進し、生活のあらゆる分野を変革する大きな可能性を秘めている。英国はAIの世界的超大国であり、真の研究・イノベーション大国、グローバルな人材の宝庫、進歩的な規制・ビジネス環境として、今後10年間において世界をリードするのに適した立場にある。
英国の AI における成功の多くは、英国をAIイノベーションのグローバルセンターにするという政府のビジョンを定めた2017年の産業戦略によって支えられた。2018年4月、政府と英国のAIエコシステムは、AI 技術開発のリーダーとしての英国の世界的地位を高めるために約10億ポンドの AIセクター・ディール(AI Sector Deal)に合意した。今回の新しい国家 AI 戦略は、英国の強みに基づくものであるが、同時に英国におけるAIの大変革の始まりでもあり、民間部門と公共部門全体で強靭性、生産性、成長、イノベーションを高める AI の力を認識したものである。これは、我々が今後10年間に向けて英国を備える方法であり、今後10年間について次の3つの仮定に基づいて構築される。
・AI の進歩、発見、戦略的優位性の主な推進力は、人材、データ、コンピューティング、資金へのアクセスである。これらはすべて、巨大なグローバル競争に直面している。
・AI は経済の多くで主流になり、英国のすべてのセクターと地域がこの移行の恩恵を受けられるようにする施策が必要になる。
・英国のガバナンスと規制体制は、AIの急速に変化する要求に対応し、成長と競争力を最大化し、英国の卓越したイノベーションを推進し、市民の安全、セキュリティ、選択、権利を保護する必要がある。● 英国国家AI戦略の目的
① 科学とAIの超大国としてのリーダーシップを継続するべく、AIエコシステムの長期的なニーズに対して投資し、計画する。
② AI 対応経済への移行を支援し、英国におけるイノベーションの便益を掌握し、AI がすべてのセクターと地域に恩恵をもたらすようにする。
③ 英国が、イノベーション・投資の促進と、一般市民や英国の基本的価値の保護を正当に実施できるように、AI技術の国内および国際的なガバナンスを確保する。● 主要施策の概要
短期(今後3か月)、中期(今後6~12か月)、長期(今後12か月以上)に分けて記述されているが、ここでは短期施策について以下に抜粋する。
目的①について
・より広範な経済におけるより適切なデータを利用可能にする政府の役割に必要な枠組みを公開する。
・ 全英サイバー物理インフラ枠組みの役割とオプションについて協議する。
・ 教育省の「スキル・ブートキャンプ」を通じて、AI、データ・サイエンス、デジタル・スキルの開発を支援する。目的②について
・ 国民保健サービス(NHS)AIラボを通じて、医療・介護におけるAI主導技術に関する国家戦略草案への取り組みを開始する。
・ 国防省(MOD)を通じて国防AI戦略を発表する。
・ 英国特許庁(IPO)を通じてAIの著作権と特許に関する協議を開始する。目的③について
・ データ倫理・イノベーション・センター(CDEI)保証ロードマップを公開する。
・ 「データ:新しい方向性指針(Data: a new direction)」に従って、より広範なAIガバナンスにおけるデータ保護の役割を決定する
・ 国防省(MOD)がAIを採用・使用する際に使用するアプローチの詳細を公開する。
・ 国際的なAI活動に対する政府全体のアプローチを開発する。 [DW編集局]