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- 国・地域名:
- ドイツ
- 元記事の言語:
- ドイツ語
- 公開機関:
- ヘルムホルツ協会(HGF)
- 元記事公開日:
- 2021/09/15
- 抄訳記事公開日:
- 2021/12/07
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海はどれくらいのCO2を吸収できるのか?
- 本文:
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2021年9月15日付ヘルムホルツ協会(HGF)の標記報道発表の概要は以下のとおりである。
海洋は地球上で最大の炭素貯蔵庫である。しかし気候変動が貯蔵能力に影響を与えるため、研究者たちは人工的にCO2の吸収量を増やしたいと考えている。方法については賛否両論がある。
海洋は、海面上でCO2を吸収し、それを水中に溶解させることで、重要な役割を果たす可能性がある。正確な量は不明であるが、年間2~3ギガトンと推定されている。
不確実性の理由としては、表面水と深層水が混じり合うこと、気候変動の影響でこの循環が変化すれば、CO2の吸収量が変わる。またグリーンランドと南極の氷山の融解による循環の変化がある。
気候変動の過程での変化については、水温が上昇するとCO2の吸収能力の低下があり、これが大きな問題である。
海洋への取り込み量を増やす方法については、
ユートピア的であり、真剣に検討している方法ではないが、化学的なプロセスとは異なり、炭酸を中和して新たなCO2が入る余地を作ろうとするものである。具体的には、陸地の岩を採掘し、望ましい反応を開始させるために海に持ち込む方法がある。
また、使用する岩は、石灰岩と玄武岩が適していて、数十億トンのCO2の除去が可能となる。
生物学的アプローチについては、海草の牧草地などの沿岸地域を再生し、CO2を吸収固定させることであるが、その可能性は化学的アプローチに比べて低く、年間40億トン程度のCO2しか削減されないと推定されている。
地上の岩石を適用した時の海洋環境への影響については、水がアルカリ性になる可能性がある。
温室効果ガスの削減に当たっては、大気からの活性CO2抽出のための全てのオプションを詳しく見る必要がある。何もしないで、地球が温暖化し続けるならば、気候変動による生態学的および社会的影響は、さらに大きくなるかもしれない。海のバランスを崩すことに興味はない。もしこれらの手順が良くないことが判明した場合には、強行するつもりはないが、しかし何もしないわけにはいかない。少なくとも、オプションを検討し、その上で、それを適用するか否かについて、科学的な情報に基づいた意思決定を行なうことができる。
CO2を回収して埋めるCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)の場合と同様に、地球の深層にCO2を貯蔵するというもので、ノルウエー沖の海底で、産業規模までの試みが行われており、このプロセスを原理的に使用できることがわかっている。唯一の問題は、特定の地質学的要件を満たす必要があるため、この方法が世界的にどの程度まで可能かということである。 [DW編集局]