[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)
元記事公開日:
2021/10/19
抄訳記事公開日:
2021/12/10

英国が2050年までに排出量ネットゼロを目指す「ネットゼロ戦略」を発表

UK's path to net zero set out in landmark strategy

本文:

2021年10月19日付ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)の標記発表の概要は以下のとおり。

英国政府は、英国による気候変動への貢献を2050年までに完遂する行程の指針となる「ネットゼロ戦略」を発表し、2030年には、44万人の高収入雇用を確保し、900億ポンドの投資を引き出すための方法を示した。

首相の10ポイント計画に基づく今回の英国ネットゼロ戦略は、英国の企業と消費者によるクリーンエネルギーとグリーン技術への移行を支援する方法について、経済全体の包括的な計画を示している。英国において持続可能なクリーンエネルギーに投資することにより英国の化石燃料への依存度を下げ、将来の高値で変動する価格のリスクを軽減し、エネルギー安全保障を強化する。

上記戦略の一環として、今回発表された新規投資には以下が含まれる。

・英国の自動車とそのサプライチェーンの電化支援のための最大10億ポンドの投資のうち、3億5,000万ポンドを追加、さらに6億2,000万ポンドを対象となる電気自動車の助成とインフラ、特にその地域の路上の住宅用充電ポイントに追加する予定である。これには、ゼロエミッション車の義務化を通じて、英国の道路にさらに数千台のゼロエミッション車とバンを走らせる計画が伴う。

・また、日常の家庭ごみ、産業からの煙道ガス、大気から回収された炭素、余剰電力などの持続可能な材料から作られた持続可能な航空燃料(SAF)の商業化の開始に向けて取り組んでいる。これにより、ライフサイクルベースで、従来のジェット燃料よりも70%以上少ない炭素排出量になる。我々の目標は、2030年までに10%のSAFの提供を可能にすることであり、英国のSAFプラントの開発を支援するために、1億8,000万ポンドのファンディングで英国の産業を支援する。

・1億4,000万ポンドの産業・水素収益支援制度により、産業の炭素回収と水素を加速し、ガスと水素による産業用エネルギーコスト間のギャップを埋め、グリーン水素プロジェクトを軌道に乗せる。2つの炭素回収クラスタ(北西イングランドと北ウェールズのハイネットクラスタと、ティーズサイドとハンバーのイーストコーストクラスタ)は、2020年代にこの技術の最前線に産業の中心地を置き、政府の10億ポンドの支援を背景に北海の産業を活性化させる。

・将来のグリーン技術を開発するイノベーションプロジェクト向けに5億ポンドを追加し、ネットゼロの研究・イノベーション向けのファンディング総額を少なくとも15億ポンドにする。これは、我々の家、産業、土地、電力を脱炭素化するための最も先駆的なアイデアと技術を支援する。

・新規4億5,000万ポンドの3年間のボイラー・グレードアップ制度等、熱源と建物の脱炭素化のための39億ポンドの新たなファンディングを提供する。これにより、家庭や建物をより暖かく、より安価に暖房でき、そしてさらにクリーンに維持することができる。

・「気候の為の自然基金」が1億2,400万ポンド増強され、2050年までにイングランドで約28万ヘクタールの泥炭地復元するという公約、また英国全体で今年度少なくとも3万ヘクタールの森林を造成するために、イングランドでの森林造成を3倍にするという公約の達成を支援する。

・「未来の原子力実現基金」を通じた原子力プロジェクトの開発に向けて1億2,000万ポンド。アングルシー島のウィルファ・サイトなど、多くの最適サイトがある。このようなファンディングは、2050年から2035年までに、英国の電力システムを15年早く脱炭素化するための道筋を支援する可能性がある。

[DW編集局]