2021年10月5日付けの国家科学技術会議（NSTC）による標記報告書の概要は以下のとおりである。

量子情報科学技術(QIST)は、科学的、経済的、そして国家安全保障に大きな影響を与える。この重要な新興技術でリーダーシップを維持するためには、多様で専門的な人材を育成する必要がある

QISTの開発に必要な人材は、現在、国内外で不足している。企業、大学、国立研究所、連邦政府におけるQISTの研究開発能力を高めるためには、多様で専門的な人材を育てるための持続的な取り組みが必要である。

QISTが経済的にも国家安全保障的にも重要性を増している中、海外からの訪問者や移民を米国に受け入れることに伴う潜在的なリスクと、米国および世界のダイナミックな研究事業に貢献する彼らが果たす重要かつ有益な役割とのバランスを取る必要がある。

本報告書では、海外のパートナーとの密接な協力関係の重要性を含め、QISTにおける米国の研究事業を成功させるために国際的な人材が果たす重要な役割を強調するとともに、米国と海外のパートナーの技術や専門知識を保護することの重要性を強調している。また、留学生や研究者の強い流れを維持することは、発展するグローバルな研究事業の一環として、米国のQIST目標を達成するために必要なQISTの専門家を育成するための不可欠な要素であるとしている。

本報告書では、QISTにおける米国のリーダーシップを継続的に確保するために、以下のことを提言している。

1. 米国は、世界中から優秀な人材を受け入れる政策を継続的に策定・支援するとともに、潜在的な研究セキュリティ上の懸念を緩和するための適切なバランスの取れた保護策を実施すべきである。
2. 連邦政府機関は、同盟国やパートナーと緊密に連携し、研究の自由、実力主義的な競争、開放性と透明性、説明責任、互恵性といった共通の価値観や原則に裏打ちされた、活気に満ちた安全な国際的なQISTエコシステムを確保すべきである。
3. NSTCの量子情報科学小委員会（SCQIS）は、QIST人材育成のための5年間の戦略的計画を策定し、進化する人材ニーズを評価し、国内の人材プールを拡大させ、世界中からQISTの優秀な人材を惹きつけ、保持する方法を推進すべきである。
4. QIST の研究、開発、取得に資金を提供する連邦組織は、知的資本と財産を保護するための、協調的で包括的な量子技術保護計画を策定すべきである。これらの対策は、オープンで透明性の高い研究開発という米国の理想を推進しつつ、米国の技術を標的とする現在および新規の手法に対応するものでなければならない。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]