[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
元記事公開日:
2021/10/07
抄訳記事公開日:
2021/12/20

初等教育における科学工学教育の優先化に関するアカデミー報告書

Science and Engineering Education Needs to Be Prioritized Through Fifth Grade, Says New Report

本文:

2021年10月7日付けの全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)による標記発表は以下のとおり。

NASEMが発表した新しい報告書「幼児・初等教育課程における科学工学」によると、科学と工学の教育は、プレスクール(幼児教育課程)から小学校5年生までに優先的に行われる必要があり、州の政策立案者は、これらの科目が幼児・初等教育課程において包括的に、反復して、一貫して教えられるようにする必要があるとしている。

報告書では、幼い子供でも洗練された方法で質問をしたり、自分の世界を理解することが可能であり、また、就学前児童でも、工学や科学のアイデアや概念を結びつけ、そして習熟度を高めることが可能である。しかし、これが後の科学学習で成功するために不可欠であるにも拘わらず、多くの教室では、プレスクールから小学5年生までの間、生徒が科学と工学を学ぶ機会は限られている。全国的な調査データによると、これらの学年では、特に言語科目や数学などの他の科目と比較しても、科学と工学の学習が優先されていないことを示しており、この優先順位の欠如がリソースの乏しい学校では悪化することが多い。

科学と工学の学習を支援するためには、以下の事柄が必要となる。

科学工学の教育:
科学と工学の学習と取り組みを支援するために、教師らは、生徒らの自然な好奇心を活用し、自ら判断して問題を解決できる機会を提供するような、興味深くて関連性の深い現象や問題に関する授業を用意する。また、科学と工学における協力を支える、思いやりや共同体の文化を確立する学習体験を利用する。
年に数回、生徒の学習に関する複数のデータポイントの収集評価による指導を通知し、家族やコミュニティと協力して、教室の内外で子供たちによる科学と工学への取り組みを相互に支援する。また、訓練を通じて、教育の公平性に向けて取り組む中で専門知識を強化する。

カリキュラムの改善:
科学と工学のカリキュラムは、生徒らの興味に基づいて構築され、調査と設計を通じて彼らに世界を理解させる機会を提供し、同時に、科学や工学を言語科目や数学などの他の科目に統合する方法を模索する。カリキュラム開発者は、教材が有効性の証拠を示すことを確認し、教師にカリキュラムを自分の教室に適応させる機会を与えることで、教師らを支援する。

州と地区の指導者らは、採用するカリキュラムを決定する際に証拠に基づくレビューに依拠し、科学と工学の授業が調査と設計に基づいて、一貫性、柔軟性、適応性に満ち、公平であることを確認する。さらに、すべての学校がカリキュラム資料とそれらを教えるために必要なリソースにアクセスできるようにする。

教育者の支援:
学校と地区の指導者らは、科学や工学の授業をより多く行えるよう、スケジュールを作成し、人員配置方針を修正し、必要なリソースを割り当てる。学校指導者らは、教師がより専門的な機会を利用できるようにすることで、これらの科目を教える教師らの能力を支援・強化する。

教育プログラムと専門的な学習経験は、プレスクールや小学校の教師らが科学と工学を教えることの重要性と価値を認識し、彼らの学習を教室での実践と結び付けるのに役立つ。校長や他の学校指導者らも、科学工学の学習に指導力を発揮するための能力を向上させる専門的な学習の機会にアクセスできる必要がある。

教育学部や専門能力開発プログラムもまた、科学と工学の教師らが公平性に向けて取り組む方法を学ぶ機会を保証する必要がある。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]