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- 国・地域名:
- EU
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 全欧アカデミー連盟(ALLEA)
- 元記事公開日:
- 2021/10/25
- 抄訳記事公開日:
- 2021/12/23
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オープンアクセスにおける公平性に関する ALLEA 声明
It Matters How We Open Knowledge – ALLEA Statement on Equity in Open Access
- 本文:
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2021年10月25日付全欧アカデミー連盟(ALLEA)の標記発表の概要は以下のとおり。
ALLEA は、「オープンアクセスにおける公平性」と題する声明を発表した。声明では、「ゴールド」オープンアクセス出版ルートと大規模なリード/ライト(購読・出版)取引が、学術研究における不公平な構造の確立に寄与していることを取り上げている。
この声明は、今年の国際オープンアクセスウィーク(10月25~30日)のテーマに基づくものである。「知識をどのようにオープンにするかが重要で、それが構造的公平性の構築である」は、(最近リリースされたオープンサイエンスに関するユネスコ勧告で定義されているように)オープンサイエンスの4つのコアバリューの1つに触発されたものである。
● Plan S と「ゴールド」オープンアクセス
2018年に、主要な研究ファンディング・実行組織のコンソーシアムが、学術出版業界での長期にわたる改革を要求し始めた。これは、プランSとして広く知られているイニシアチブである。
プランSへの広範なサポートにより、科学文献を読者から遠ざけ続けている有料の壁を徐々に取り除く最初のステップが踏み出された。いわゆる「ゴールド」オープンアクセスルート(論文をオンラインで誰でも自由に読めるようにする)は、オープンサイエンスにとって重要なツールと見なされているが、このルートを介して公開したい科学者は、かなりの「論文掲載料」を請求されることが多い。
「明らかに、このルートは商業出版社によって推進されているが、実質的にアクセスへの障壁を参加への障壁に置き換えている」と著者らは主張する。これらの改革の一環として、図書館コンソーシアムと商業出版社との間で大規模な「リード/ライト(購読・出版)取引」交渉が行われている。この注目すべき例として、ドイツの「プロジェクト・ディール(Projekt DEAL)」がある。
● 不公平な構造が強化されるという問題点
集団取引は、そのような協定の対象となる組織に所属する個々の研究者にとって有益であるが、ALLEAは、これらの進展から生じるいくつかの重大な不公平を強調している。
・これらの取引は、そのような研究者に、取引の対象となっているジャーナルで論文を発表するように、効果的に動機付けている。これらジャーナルは、高い「インパクト・ファクタ」を売り物にする高価なジャーナルであること多く、この指標はオープンサイエンス・イニシアチブで問題があると指摘されている。
・この暗黙のインセンティブは、大手の商業出版社の市場支配をさらに高めるリスクがあり、小規模の専門出版社や学会出版社に明らかに不利益をもたらす。
・少なくとも人文科学では、取引の対象となる機関や、場合によってはどの機関にも所属していない研究者がまだかなりの数いるという事実は考慮されていない。
・これは初期のキャリア研究者に対して確立された特権である。南の発展途上国、小規模な機関、産業界に拠点を置く研究者のニーズを無視している。重要であるが十分なリソースのない分野よりも、十分な資金のある研究分野を優遇している。
[DW編集局]