[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
高等教育・研究・イノベーション省(MESRI)
元記事公開日:
2021/09/30
抄訳記事公開日:
2021/12/24

2019年は国内研究開発支出の伸びが鈍化

Ralentissement de la progression des dépenses intérieures de R&D en 2019

本文:

2021年9月30日付高等教育・研究・イノベーション省(MESRI)の標記発表の概要は以下のとおり。

2019年、フランスの国内研究開発支出は、金額で534億ユーロで、1.6%増加した(2018年は1.8%増)。研究努力の対GDP比は、2018年の2.20%から2019年には2.19%となった。

● 2019年、国内研究開発支出の増加はこれまで通り企業の支出増に牽引されている

2019年、フランスの国内研究開発支出(DIRD)は534億ユーロで、2018年と比較して15億ユーロ増加した。物価変動を考慮したDIRDの実質額は2018年に1.8%増加した後、2019年の増加は1.6%であった。企業のDIRDは2.2%増加し、政府のDIRDは0.5%増加した。国内総生産(GDP)に占めるDIRDの割合である研究努力は、2018年の2.20%から、2019年には2.19%になった。
2020年には、DIRDは542億ユーロに達したが、実質額では1.0%減少する。企業のDIRDは359億ユーロになるものの、0.6%の減少と見込まれる。他方では、政府のDIRDは184億ユーロで安定していると見込まれるが、これは1.7%の実質額減少を示す。DIRDの低下(実質額で-1.0%)はGDPの低下(-7.9%)よりも小さくなる。その結果、研究努力の対GDP比は2019年の2.19%から2020年には2.36%に増加する。

● 企業の国内研究開発支出(DIRDE)は産業セクターで増加している

2019年、サービス・セクターの研究開発支出は、前年度よりも活力を欠いていた。実質額で+ 3.0%(2018年は+ 7.8%、2017年は+ 8.4%)であった。一方、産業セクターの研究開発支出は加速した。実質額で+ 2.0%(2018年は+ 0.5%、2017年は-0.1%)であった。
企業の研究開発支出の70%は製造業セクターで実行されている。
研究に関する産業セクターの上位3セクター(自動車産業、航空宇宙建設、製薬産業)が、国内研究開発支出で111億ユーロ、つまり企業の国内研究開発支出の31%を占めている。自動車産業の研究開発支出は4.0%増加している。航空・宇宙建設の分野では、2018年に+ 0.3%、2017年に-4.3%を記録した後、急激に増加した(+ 4.7%)。製薬業界では、2008年以降に見られている減少が続いている(2019年には-4.5%)。
GDP 比では、DIRDE は2018年と同様に2019年には1.44%の研究努力を示している。

● 2019年における政府国内研究開発支出(DIRDA)増加の鈍化

政府の国内研究開発支出は、実質額で2018年に1.3%増加した後、2019年の増加は0.5%であった。EPIC(産業・商業的性格の公的機関)のDIRDAは、2018年に1.7%増加した後、0.6%減少した。EPST(科学・技術的性格の公的機関)のDIRDAは、2018年に1.4%増加した後、1.9%の増となった。MESRIの直接監督下にある大学やその他の教育・研究施設の支出は、0.7%減少した。より広義には、高等教育セクター(研究担当省の直接監督外の学校や大学病院も含む)への支出は、2019年に0.5%減少した。
パスツール研究所(Institut Pasteur Paris)を含む非営利機関(ISBL)の支出は、6.1%の増加となった。GDP比では、DIRDAは2019年に0.75%の研究努力を示しており、2015年に0.79%、2016年に0.78%の後、2017年、2018年と同じレベル(0.76%)を維持している。

● 研究開発担当者10人のうち、6人は企業で、4人は政府機関で働いている

2019年、フランスでの研究開発活動は、フルタイム換算で、46万2,000人の研究者を動員した。企業が61%、政府が39%を雇用している。研究における雇用は2019年に2.0%増加し、2018年(+ 2.4%)よりわずかに低い増加率であった。

[DW編集局+JSTパリ事務所]