[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)
元記事公開日:
2021/10/28
抄訳記事公開日:
2022/01/14

2021年政府歳出計画におけるBEIS政策の概要

BEIS in the Spending Review 2021

本文:

2021年10月28日付ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)の標記発表の概要は以下のとおり。

政府は歳出計画を発表し、2050年までに炭素排出量正味ゼロに到達し、将来の雇用と産業を支援し、高賃金・高スキルの経済に投資するという重要な公約をしている。

BEIS は、これらの計画を実現する最前線に立ち、数百万の労働者世帯の賃金上昇を監督し、数千もの雇用を創出し、世界的な科学超大国としての英国の地位を確保する。

本予算では、BEISが前週発表したネットゼロ戦略を補完し、英国企業が将来に向けて計画するために必要な投資と支援を提供する。

● 企業と労働者の支援

コロナウイルスのパンデミックによる経済的影響からの回復を続ける中、歳出計画には、英国労働者の収入向上や、企業の投資・成長意欲を支援するための重要な対策が含まれる:

・2022年4月から導入される国民生活賃金を1時間あたり最大9.50ポンド増加し、英国全体で200万人の最低賃金労働者に対して1,000ポンドの賃金上昇とする。
・復興貸付制度の6か月延長。この制度では、4月以降10億ポンドを超える政府支援貸付で英国企業の復興をすでに支援している。
・新規および成長中の企業向けに、今後3年間で英国ビジネス銀行を通じて16億ポンドの融資。これには、英国全土の事業主を対象とした新規3万3,000件のスタートアップ貸付に対する3億1,200万ポンド、地域基金プログラムの拡大による北部、中部地方、南西部の企業に対する3億700万ポンドが含まれる。
・企業による建物のエネルギー効率向上への投資を支援するために、ソーラーパネルやヒートポンプなどの環境に配慮した設備改善策に対するビジネスレートの免除措置。

● イノベーションの振興

英国は科学・イノベーションの世界的リーダーであり、今回の歳出計画には、科学の超大国としての地位を確固たるものにするための取り組みを含む:。

・英国全体に経済成長をもたらす科学、研究、イノベーションに投資するために、2024/2025年度まで研究・開発への政府投資を年50億ポンド増加する。英国は、2026/2027年度までに、研究・イノベーションに220億ポンド、又はGDP全体の2.4%を投資するという目標を達成する予定である。
・国内のワクチン製造・開発能力の向上など、ライフサイエンス向けに3億5,400万ポンド。
・北東部とミッドランドにおける電気自動車の生産・サプライチェーンに対する8億1,700万ポンドの投資。
・Made Smarter Adoption制度を通じて、小規模メーカーの産業用デジタル技術採用を支援することにより、その製造のレベルアップに向けた2,400万ポンド。
・投資増を目指す企業向けの研究開発税減税。企業のニーズに対応して、クラウドコンピューティングやデータ・コストをカバーするように減税が拡大される。この減税策は、2023年4月からの国内投資に焦点を当て、イノベーションと雇用が英国に留まるようにする。ゲノム解読、機械学習、データ分析などの分野での最先端研究に対する税軽減策もある。

● 新たなグリーン産業への投資

歳出計画は先週発表され指針となる「ネットゼロ戦略」を支持している。これは、グラスゴーでのCOP26気候会議に先立ち、英国が新しいグリーン産業を立ち上げ、雇用を創出し、2050年までに炭素排出量ネットゼロに到達する方法を示している。これには以下が含まれる:

・政府の「ネットゼロ戦略」を実現するための260億ポンドの設備投資。これは、英国のグリーン産業革命への全体的な300億ポンド相当の投資の一部で、住宅の脱炭素化で何千人もの雇用機会を生み出す39億ポンドを含んでいる。
・沿岸地域の洋上風力インフラに最大3億8,000万ポンド。
・原子力プロジェクト、この国会会期中に、少なくとも1つの大規模原子力プロジェクトを最終投資決定に持ち込むという取り組みのほか、1億2,000万ポンドの「次世代原子力実現基金」の立ち上げを含む。これらの措置は、10月26日にBEIS大臣が発表した「原子力エネルギー融資法案」を支持し、新しい原子力発電プロジェクトへのより幅広い民間投資を呼び込むものである。
・2つの新たな炭素回収利用・貯留クラスタ(イングランド北西部とウェールズ北部のハイネット・クラスタ、およびティーズサイドとハンバーの東海岸クラスタ)は、2020年代に我々の産業の中心地をこの技術の最前線に置き、北海の産業を活性化させる。これは、10億ポンド相当の政府支援によって支えられている。
・産業エネルギー変革基金(IETF)に3億1,500万ポンド。エネルギー使用量の多い企業が低炭素の未来に移行できるようにするための技術の実証と展開を支援。
・水素プロジェクトおよび炭素回収・貯留の業界での採用を促進するための1億4,000万ポンドの「産業用脱炭素・水素収益支援(IDHRS)」制度。IDHRSのファンディングは、「ネットゼロ水素基金」の2億4,000万ポンドと合わせて、英国全土での革新的な商用水素プロジェクトを支援する。

[DW編集局]