[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
大統領府
元記事公開日:
2021/10/31
抄訳記事公開日:
2022/01/18

サプライチェーンの強靭性原則に関する議長声明

Chair’s Statement on Principles for Supply Chain Resilience

本文:

2021年10月31日付けの大統領府による標記発表は以下のとおり。

米国、欧州連合(EU)、オーストラリア、カナダ、コンゴ民主共和国、ドイツ、インドネシア、インド、イタリア、日本、メキシコ、オランダ、大韓民国、シンガポール、スペイン、および英国は、サプライチェーンの短期的混乱と長期的な強靭性に関する議論のため一堂に会した。

安全で持続可能かつ強靭なグローバル・サプライチェーンは、我々の経済的繁栄、国家安全保障、および集団的利益の基盤である。各国は、原料や中間財などの、ビジネスや消費者が必要とする製品を確実に入手できるようにするサプライチェーンの強靭性強化に協力する意向を表明した。

そのようなサプライチェーンの強化には、政府のみならず、産業界、組合・労働者、市民社会、そして国際機関とも協力して取り組むことが必須である。世界貿易が今、経験する深刻なショックへの対応であれ、安全保障の重要部門における長期的課題への対処であれ、より強靭なグローバル・サプライチェーンこそが、すべての人々にとっての持続可能な経済発展の基礎となるものである。

グローバル・サプライチェーンの強靭性に関し、以下の4本柱の強化について話し合われた。

1.透明性:サプライチェーンの透明性は、リスクや潜在的不足に対する認識を高め、ボトルネックを特定し、重要な代替供給源の投入の必要性に関する判断を支援する。このようなオープン性とコミュニケーションは、サプライチェーンの混乱への迅速な対応を促進し、サプライチェーン内の他のプレーヤーが緩和策を講じることを可能にする。透明性はまた、消費者が十分な情報を得た上で購入の意思決定を行うことを可能にし、また企業が効果的に顧客にサービスを提供することを可能にする。

政府レベルでの透明性は、サプライチェーンの課題に関する情報と洞察の共有のみならず、政府によるサプライチェーン全体の改善にも役立つ。米国は、透明性のための措置の特定、および必要な措置について民間部門と協力する。

2.多様性、開放性、および予測可能性:オープンな世界市場は、強靭なサプライチェーンを支える上での基盤である。多様なグローバルサプライヤーは、強靭性を高めるだけでなく、相互接続性と繁栄の共有を促す。不要な貿易規制を撤廃し、ルールに基づく多国間システムの原則と目的に沿った商品やサービスの自由な流れを維持し、そして、サプライチェーン全体に影響を及ぼす既存の規制への対処するために協力することが必要である。予測可能性も信頼できるサプライチェーンにとっての重要な要素である。

3.安全保障:各国は、サプライチェーン内のすべてのプレーヤーにとって、安全保障は最優先事項として認識される必要がある。特に技術サプライチェーン、重要インフラノード、その他のサプライチェーン内で不可欠なポイントでは、安全保障は最優先事項である。安全保障の脆弱性に対処することで、重要なシステムやインフラの損傷と混乱を防ぎ、不要なコスト、非効率な納品、知的財産や商品の損失、または不認可製品や不良品の納品を防ぐことができる。政府は、産業界と協力して、サプライチェーンに対するセキュリティリスクを良く理解して管理することが重要である。
4.持続可能性:政府、業界、市民社会は、気候変動に関するパリ協定や国際労働協約の実行など、世界的な持続可能性目標の推進・加速に向けて協力することが必要である。公正で持続可能な労働条件を作り出すことは、サプライチェーンを強化し、より革新的で生産性の高い産業と、より大きな繁栄の共有につながる。また、国連のビジネスと人権に関する指導原則や関連する国際ガイドラインに沿ったビジネス慣行の実行が要請される。サプライチェーンの混乱要因の一つが、極端気象事象であり、また経済活動の自然への依存性にあることを考慮すると、気候と環境の持続可能性への投資と主流化、またクリーン・エネルギーサプライチェーンの開発は、正しい政策であると同時に正しいビジネスとなり得る。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]