[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国防総省(DOD)
元記事公開日:
2021/11/03
抄訳記事公開日:
2022/01/24

中国の軍事・安全保障上の進展に関する報告書2021年版

2021 Report on Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China

本文:

2021年11月3日付けの国防総省(DOD)による標記報告書の概要(一部抜粋)は以下のとおりである。

中国の国家戦略:
2049年までに「中華民族の偉大な復興」を達成し、米国の世界的な影響力とパワーに匹敵するか凌駕し、インド太平洋地域における米国の同盟と安全保障パートナーシップを駆逐し、国際秩序を北京の権威主義体制と国益に有利になるように修正することを目指すとされる。中国は、中国の戦略的競争に対する考え方を、強大な国家間の競争と、対立するイデオロギーシステムの衝突という観点から特徴づけている。北京は、米国が中国を封じ込めようとする姿勢を強めており、中国の戦略にとって潜在的な障害になると認識している。中国指導部は、利害が一致しない分野では、米国や他国との対立をいとわない姿勢を強めている。

中国の経済政策:
中国の経済発展は、より大きな防衛予算の手段を提供するだけでなく、「中国製造2025」や「中国標準2035」といった党主導の取組みや、国営産業の体系的な利益を通じて、軍事的近代化を支援している。中国の第14次5カ年計画(2021-2025)において、党は「双循環」という新しい「発展パターン」への移行を発表した。双循環とは、経済成長の原動力として国内消費を加速させ、ハイエンドの製造にシフトし、重要なハイエンドのグローバルサプライチェーンに沿って、主要技術におけるブレイクスルーを生み出すことに重点を置く一方で、これらの主要技術への外国投資を呼び込み、中国の安全保障と発展目標を支える国内の技術革新を進めるために必要な資本と技術を提供するというものである。

軍民融合発展戦略:
中国は、経済、社会、安全保障の各発展戦略を融合させ、中国の国家的な若返り目標を支援するために、統合された国家戦略システムと能力を構築するための、軍民融合(MCF)発展戦略を追求している。党のMCF戦略には、軍事目的のための高度なデュアルユース技術の開発と獲得、国防科学技術産業の改革の深化などの目標が含まれており、中国の国力のすべての手段を強化するというより広範な目的がある。

化学・生物学研究:
中国は、生物・毒素兵器禁止条約(BWC)および化学兵器禁止条約(CWC)違反が懸念される、デュアルユースの可能性のある生物学的研究に従事している。CWCの下での義務を果たしていることを証明することはできない。

軍事近代化のための科学技術目標:
中国は、先端技術を習得し、世界のイノベーション大国になるために積極的な活動を行い、第4次産業革命に関連した技術を支配しようとしている。特に、AI、自律システム、先進コンピューティング、量子情報科学、バイオテクノロジー、先端材料・製造など、軍事的に大きな可能性を秘めた主要技術におけるリーダーシップを追求し続けている。第14次5か年計画は、技術的独立性と中国発のイノベーションに焦点を合わせている。2020年時点で、人民解放軍は、戦略的・戦術的助言用の機械学習、トレーニングのためのAI対応型ウォーゲーム、ソーシャルメディア分析などのアプリケーションに焦点を当てた複数のAIプロジェクトに資金を提供している。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]