[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ヘルムホルツ協会(HGF)
元記事公開日:
2021/10/19
抄訳記事公開日:
2022/01/24

ヘルムホルツ協会が「ヘルムホルツ量子」プラットフォームを立ち上げ

Eine Aufgabe wie die Mondlandung

本文:

2021年10月19日付ヘルムホルツ協会(HGF)による標記報道発表の概要は以下のとおりである。
量子技術は、将来の経済と社会に変革をもたらす。HGFはその分野での専門知識を結集させて、独自のプラットフォームを立ち上げた。量子物理学の奇妙な法則は、「量子コンピュータ」による、信じられないほどの計算速度の達成を助けると考えられている。素材研究、非常に複雑な物流や交通の流れの最適化、化学反応のシミュレーションなどで、画期的なブレークスルーが待ち望まれている。
「研究者、産業界、政策立案者には、共通の言語と明確な計画が必要である」
「ヘルムホルツ量子」のコーディネータであるトマソ・カラルコ氏は、「量子コンピュータは、非常に野心的なビジョンである。そして集中的な方法で、かつ協働的な取り組みでのみ実現可能である。研究者、産業界、政策立案者は共通の言語と明確な計画を必要としている」と語り、すべての量子の専門知識をプールし、共通の戦略に従うために「ヘルムホルツ量子(Helmholz Quantum)」と呼ばれるプラットフォームを立ち上げた。
現在の目標は、強力な量子コンピュータを構築することである。「ヘルムホルツ量子」の研究チームは、国内でこれを構築し、適切なソフトウエァを開発したいと考えている。ドイツ政府も、量子技術は研究拠点ドイツにとって非常に重要であると考えており、2025年までに20億ユーロの資金投入を予定している。
「ヘルムホルツ量子」は、医療画像の新しい方法やより精密なナビゲーション・デバイスなど、基礎的な研究からアプリケーション志向の研究にわたる、量子技術の開発を担うアクターであり、中心的存在であると自負している。
「ヘルムホルツ量子」の中心的な役割:
HGFの使命の1つは、社会に影響を与えて、時代の大きな問題解決に取り組むことである。量子技術の開発は、このような協力的な取り組みを必要とする。
HGFがシステム・インテグレータの役割を果たし、企業、政治、社会の交流を可能にすることが期待されている。「ヘルムホルツ量子」は、また基礎研究と応用研究の間のギャップを埋めている。ユーリッヒの新しいヘルムホルツ量子センターでは、研究者は、新しい量子素材の研究から量子コンピュータシステムを完成させることにまで幅広く取り組んでいる。
研究者が道筋を示す:
世界的なセンセーションを起すであろう次の大きなマイルストーンは、量子コンピュータが実際的に重要な課題を、どの古典的なコンピュータよりも速く、初めて解決する「量子の卓越性」を実証した時であると思われる。HGFの研究者がここで大きな貢献をできることはすでに証明されている。彼らはGoogle社のいわゆる「量子優位性」の実証試験に関与していた。
量子コンピュータが得意としているのは、電気-自動車の電池で起こるような複雑な化学反応のシミュレーションである。このようなシミュレーションから、より大きなストレージ容量を備えたバッテリー用の新しい素材が作られる可能性がある。ドイツの最初の量子コンピュータとって、このレースは有利である。ユーリッヒ研究センターのフランク・ヴィルヘルム-マウハ氏は「2026年までに量子の卓越性を確立したい」と述べている。

[DW編集局]