[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2021/11/12
抄訳記事公開日:
2022/01/25

デジタル経済社会指標2021:デジタル移行は全体的に進展も、EU全体の新たな取り組みが必要

Digital Economy and Society Index 2021: overall progress in digital transition but need for new EU-wide efforts

本文:

2021年11月12日付欧州委員会(EC)の標記発表の概要は以下のとおり。

欧州委員会はこのほど、2021年のデジタル経済社会指標(DESI)の結果を発表した。これは、人的資本、ブロードバンド接続、企業および公共サービスによるデジタル技術の取り込みといった領域における、デジタル競争力に関するEU加盟国の進歩を追跡するものである。DESI 2021年報告は、大部分が2020年の第1四半期又は第2四半期現在のデータを示しており、COVID-19 パンデミックの最初の年におけるデジタル経済・社会の主要な進展について、いくつかの洞察を提供している。ただし、デジタルサービスの活用と提供に対するCOVID-19の影響、およびそれ以降に実施された政策の成果は、データに取り込まれておらず、2022年版でより明確になる。

すべてのEU加盟国はデジタル化の分野で進歩を遂げたが、加盟国全体の全体像はまちまちであり、ある程度の一致はあるものの、EUの最有力国とDESIスコアが最も低い国との間のギャップは依然として大きいままである。これらの個々の改善にもかかわらず、すべての加盟国は、「欧州のデジタルの10年」に定められた2030年目標を達成するべく協調して努力する必要がある。

● 4つの領域における2021年のDESIの主な調査結果

デジタルスキルに関しては、EUにおける個人の56%が少なくとも基本的なデジタルスキルを有している。データは、ICT専門家の雇用のわずかな増加を示している。2020年に、EUには(前年の780万人に比して)840万人のICT専門家がいた。企業の55%が2020年にICT専門家の採用が困難であると報告したことを考えると、高度なデジタルスキルを備えた従業員の不足も、多くの加盟国で企業のデジタル変革が遅れている要因となっている。データは、デジタルの10年で定められたスキル目標(人口の80%が基本的なデジタルスキルを備え、2,000万人のICT専門家を擁する)を達成するために、トレーニングの提供と機会を増やす必要があることを明確に示している。
EU理事会がこれまでに採択した(EU加盟各国が作成する)復興・強靭化計画において、デジタル投資の17%(合計1,170億ユーロのうち約200億ユーロ)がデジタルスキルに充てられていることもあり、今後数年間で大幅な改善が見込まれる。

接続性に関するデータは、「超大容量ネットワーク」(VHCN)での改善を示している。特に、EUの59%の世帯で利用可能であり、1年前の50%から増加しているが、それでもどこでも接続可能な Gigabit ネットワーク(デジタルの10年の2030年目標)にはほど遠い。地方の VHCN 対象範囲は、2019年の22%から2020年には28%に上昇した。さらに、1年前の16か国と比して、加盟25か国がなんらかの5Gスペクトルを割り当てている。5Gは、加盟13か国で商業的に開始されており、主に都市部をカバーしている。EU理事会が採択した復興・強靭化計画で、デジタル投資の11%(合計1,170億ユーロのうち約130億ユーロ)が接続性に特化されていることは注目に値する。

デジタル技術の取り込みに関しては、クラウド技術の活用が大幅に増加している(2018年の企業の16%から2020年の26%へ)。大企業は引き続きデジタル技術の活用をリードしている。たとえば、エンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)とクラウドソフトウェアを介した電子情報共有を、中小企業よりもはるかに頻繁に使用している(ERPでそれぞれ80%と35%。クラウドの場合はそれぞれ48%と25%)。それにもかかわらず、高度なデジタル技術(ビッグデータ14%、人工知能(AI) 25%、クラウド26%)を使用している企業はごくわずかである。このデータは、デジタル技術の採用の現状がデジタルの10年の目標からかけ離れていることを示している。2030年の目標は、中小企業の90%が2020年の60%ベースラインに対して、少なくとも基本レベルのデジタル強度を持ち、企業の少なくとも75%が、2030年には高度なデジタル技術を使用することである。現在、75%の目標とは対照的に、最もパフォーマンスの高いいくつかの国でさえ、ビッグデータを使用している企業はごくわずかである。重要なことは、EU理事会が採択した復興・強靭化計画において、デジタル投資の約15%(合計1,170億ユーロのうち180億ユーロ近く)は、デジタル能力とデジタル研究開発に充てられていることである。

電子政府サービスの大幅な改善は、デジタル公共サービスのデータにはまだ示されていない。パンデミックの最初の年に、いくつかの加盟国は、より多くのサービスをオンラインで提供するために、デジタル・プラットフォームを構築または強化した。EU理事会が採択した復興・強靭化計画では、デジタル投資の37%(合計1,170億ユーロのうち約430億ユーロ)がデジタル公共サービスに充てられているため、今後数年間で大幅な改善が見込まれる。

[DW編集局]