[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
マックスプランク協会(MPG)
元記事公開日:
2021/11/15
抄訳記事公開日:
2022/01/27

コロナ禍でのパンデミック関連規制の影響に関する調査結果

Psychische Gesundheit in Zeiten von Corona

本文:

2021年11月15日付マックスプランク協会(MPG)による標記報道発表の概要は以下のとおりである。
「コロナ社会(CovSocial)」プロジェクトでは、ベルリン市民に対するパンデミック関連規制の影響を調査した。
研究ネットワークでは、オンラインで多くのベルリン人にインタビューし、コロナパンデミックをどう過ごしたか、そしてその間に生活がどのように変化したかについて調査した。その結果、最初のロックダウン時には、ショック効果、2番目のロックダウン中には、疲労効果を感じていたことがわかった。さらに2回目のロックダウンの2021年3月には、最初のロックダウンの2020年3月よりも、人々はストレス、不安、落ち込みをより多く感じていた。一連の措置により市民の間の社会的結束力はかなり低下した。若者と女性はこの制約に最も苦しんでいた。
パンデミックを封じ込めるための措置は、経済的な影響だけではなく、社会的にも大きな制約をもたらした。研究チームリーダーのタニア・ジンガー客員教授(Tania Singer、ベルリン・マックスプランク協会社会精神科学研究グループの科学ディレクター、シャリテ・ベルリン医科大学客員教授)が率いる研究チームは、2020年1月から2021年4月にかけて、人々の精神面での健康と社会的結束に対するこれらのパンデミック関連制約の影響を調査した。
「コロナ社会」プロジェクトの研究者の一人であるマルビカ・ゴダラ氏(Marvika Godara)は、最初の調査結果を次のようにまとめている。
「2020年の3月中旬から4月中旬までの最初のロックダウンでは、参加者は、うつ病、不安、孤独とストレスに苦しんでいた。措置の解除後、回答者の心的状況は大幅に改善されたが、規制前のレベルに戻ることは殆どなかった。2020年10月から2021年春の長期ロックダウンの間に、メンタルヘルスは再び低下し、パンデミックの中で、最も低いポイントに達した」。
状況の受容:パンデミック中の制約により、適応能力や、日常生活の課題への対処法も変化した。タニア・ジンガー客員教授は次のように述べている。
「特に最初のロックダウンの間は、回答者はストレスに反応して自身の状態を変えようとせず、状況を受け入れたとしている」。
パンデミックは、我々の精神的健康をどのように変えているか?について、タニア・ジンガー氏は「愛する人や隣人への信頼はパンデミック全体を通して安定していたが、2回目のロックダウンの終わりには、医療制度や政府などへの信頼は大幅に低下した」と述べている。
孤独からの脱出法:「2021年5月以降のプロジェクトの第2段階では、コロナ社会プロジェクトの約300人のベルリン市民に、10週間のメンタルオンライン介入調査に参加するよう呼びかけた。複数のロックダウンのような反復的措置には、メンタルヘルスが悪化し、回復しないリスクがある。さらに閉鎖の度に孤独を感じる人が増加する。これはうつ病のような深刻なストレス関連、精神関連の疾患につながる可能性がある。今後、調査結果を分析することで、どのグループの人々が最も保護を必要とし、どのような介入によって、孤独とメンタル面でのストレスを適切に減らすことができるかについての情報を得ることができる」と、タニア・ジンガー客員教授は述べた。

[DW編集局]