[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
高等教育・研究・イノベーション省(MESRI)
元記事公開日:
2021/11/08
抄訳記事公開日:
2022/01/28

国家人工知能戦略の新段階:人材育成への投資

Nouvelle phase de la stratégie nationale d’intelligence artificielle : le Gouvernement fait le pari des talents

本文:

2021年11月8日付高等教育・研究・イノベーション省(MESRI)の標記発表の概要は以下のとおり。

2018年3月、マクロン大統領は、フランスを人工知能(AI)の世界的リーダーにするという目標を発表した。15億ユーロを投資した第一段階では、特に、学際的な人工知能研究機関(3IA)ネットワークの創設・展開、卓越したAI 講座の支援、博士課程プログラムへの資金支援、公的研究のHPC能力への投資(JeanZay)につながった。

特に フランス公共投資銀行(Bpifrance)が運営するAI 領域のイノベーションへの経済支援の飛躍的な上昇は、第1段階のもう1つのハイライトである。AI に特化したプロジェクトに対する国および地域の援助は、2018年の1億7,000万ユーロから、2021年には10億ユーロ以上に増加している。

また、近年 AI の領域でフランスのユニコーン企業が少なくとも6社台頭している。2021年には502社のスタートアップ企業がAIを専門としており、これは2020年と比較して11%の増加である(フランス国勢調査)。
フランス2030年計画の発表の一環として、大統領は、経済のほとんどの分野で技術的主権を犠牲にすることなくイノベーションを実行するために、信頼性が高く効率的なデジタル・ソリューションの必要性を主張している。明日の人材を育成する能力も、この計画の中心にある。これらの野心的な目標が、国家AI戦略の新しい段階を開くことにつながる。

政府はこのほど、国家 AI 戦略の新たな段階を発表した。これにより、官民の協調融資で20億ユーロが動員される。

● 人材を育成し、引き付けるための前例のない投資

標記戦略の新段階の優先事項は、AIで国際的に最高の人材を育成し、引き付ける手段を備えることである。デジタル世界におけるスキルが不足している中で、これは、フランスがAI の世界的ランドスケープに影響を与え、このセクターの将来のチャンピオンとしての求心力を強化できるようにするための決定的な課題である。

したがって、公的資金の半分以上は、卓越した世界クラス施設のネットワークを構築する野心的なプログラムの一環としての人材育成、および大学やグランゼコールにおける AI の大規模な育成計画に重点を置く(7億8,100万ユーロ)。

● 科学的成功を経済的機会に転換し加速する

フランスと欧州の AI チャンピオンを出現させ、人工知能技術の具体的な使用法の普及を図ることで、フランス企業の競争力を向上させ、新興市場のパイオニアとしての地位を確立する。これには、搭載用人工知能、エッジ・コンピューティング、アルゴリズムの説明可能性と信頼性のための信頼できる技術(特に航空、エネルギー、自動運転車、インダストリー4.0に不可欠)、エネルギー効率の高いAIの開発、などがある。

2025年までにこの目的で想定されている主な施策は、人材育成面での取り組みのほかに、次のものがある。
・次世代の組み込み型AI、責任と信頼性のある AI、オープンソースを含む AI のソフトウェア、モデル、アプリケーションの開発プラットフォームへの大型投資(12億2,000万ユーロ)。
・2025年までに AI ソリューションの採用と活用において中小・中堅企業 500社を支援する(2,500万ユーロ)。
・既存のシード・アクセラレータをスケールアップし、2025年までに基礎研究由来のコンセプトから生まれる AI 新興企業数を3倍にする(4,000万ユーロ)。
・気候目標達成に重要なセクターにおけるエネルギー効率の高い AI の活用を目的とした実証試験を開始する。持続可能な都市、スマートビルディング、モビリティ、精密農業などである(1億2,000万ユーロ)。

● 公的資金15億ユーロ、民間資金5億ユーロ以上の大規模な新規取り組み

この戦略への公的投資は、主に将来への投資プログラム(5億5,700万ユーロ)とフランス2030年計画(7億ユーロ)によって賄われている。将来の投資計画プログラムは、2021~2022年に2億2,800万ユーロ、2023~2025年にさらに4億2,000万ユーロの資金をこの戦略の実施に充てる。フランス2030計画は、2025年までに 7億ユーロをAI人材育成に投じる予定である。

[DW編集局+JSTパリ事務所]