[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2021/11/18
抄訳記事公開日:
2022/02/02

BMBFが、がん研究の未解決問題の解明に3,000万ユーロを助成

Über 30 Mio. Euro für Klärung ungelöster Fragen der Krebsmedizin

本文:

2021年11月18日付ドイツ連邦教育研究省(BMBF)による標記報道発表の概要は以下のとおりである。
「がん予防国家10か年計画(“Die Nationale Dekade gegen Krebs”)」の枠内で、「腫瘍不均一性、クローン腫瘍進化および治療抵抗性」に関する共同研究の推進に関するガイドラインが発表され、対象となる2つの共同研究が選ばれた。
この腫瘍の不均一性とは、患者の一人一人に、まったく異なったがん細胞が存在し、異なった方法で広がる現象を指す。結果として生じる多様性により、がん細胞のいくつかは常に治療から離脱し、いわゆる抵抗性を獲得し、再び増殖することから、腫瘍の治療を困難にしている。細胞の変異は、治療自体を含めた特定の影響により増加することがある。このようにして、薬物に反応せず、阻害されることなく拡がる新しいがん細胞が常に存在する。
腫瘍の不均一性の進行およびそれによるがん耐性の発現に関する基本的なメカニズムについては、これまで概略解読されているが、効果的な治療法を開発し、長期的にがん患者を治癒するためには、メカニズムの正確な理解が必要となる。
「がん予防国家10か年計画」のワーキンググループ「がん研究の未解決問題(“Große ungelöste Fragen der Krebsforschung”)」の勧告に従って、BMBFは「腫瘍不均一性、クローン腫瘍進化および治療抵抗性」のテーマに関する共同研究を助成することにより、この分野の基礎研究を支援する。
カルリチェクBMBF大臣は、次のように説明している:「がんは、成功すると信じられていた治療法でも、再発することが度々ある。そうなると、その疾患は、腫瘍が拡がった場合と同様に治癒不能になってしまう。これを変えるには、腫瘍細胞内で何が起きているか、また腫瘍細胞がどのようにして治療法の攻撃を回避する新しい方法を常に見つけることができるのかについて、もっとよく理解することが必要である」。
BMBFは、これらの疾患プロセスの解明を加速させ、これに基づいて、新しい治療戦略により治療抵抗性を克服したいと考えている。
BMBF大臣は、「長期的な目標は治癒である」と強調している。そのためには、がんとそのメカニズムをさらによく理解する必要がある。「腫瘍不均一性、クローン腫瘍進化および治療抵抗性」というテーマの解明は、この道程の重要なステップである。
選択したプロジェクトには、5年間で総額3,000万ユーロを超える資金が提供される。

[DW編集局]