[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ライプニッツ協会(WGL)
元記事公開日:
2021/12/02
抄訳記事公開日:
2022/03/03

太陽光発電による電力供給量の正確な予測

Präzise Prognosen

本文:

2021年12月2日付ライプニッツ協会(WGL)による標記報道発表の概要は以下のとおりである。
再生可能エネルギーの拡大のためには、太陽光発電による電力供給量の正確な予測がますます重要になってきている。大気質の予測モデルは、将来的にその予測の精度を向上させる可能性がある。
再生可能エネルギーの拡大により、電力網に対する要求はこれまで以上に大きくなる。そのため、太陽光発電によりどの程度電力が供給されるのか、可能な限り正確に予測する必要がある。特に雲に加えて、エアロゾル粒子は、太陽光発電システムの発電量にも強く影響する。
共同プロジェクト“MetPVNet”の一環として、コペルニクス大気モニタリング・サービス(CAMS)の再分析と、ドイツ国内の25のドイツ気象庁(DWD)観測所からの日射量に関する実際の測定データの比較を1年間にわたって行った。
小さな粒子が実際に太陽光発電システム(PV)で発電される電力量にどの程度影響を与えるかについては、ほとんど知られていなかった。
欧州宇宙機関(ESA)のCAMSのトレースガスやエアロゾルに関する再分析による、明確な放射線移動シミュレーションにより、放射効果を推定した。
最近発表された評価から、2015年の例でドイツの太陽エネルギーには、有意な勾配があることがわかった。ドイツの南部では、太陽の位置が高いため、北部に比べて1平方メートルあたり年間平均最大0.5メガワット時間、より強力に太陽光が当たる。大陸起源のエアロゾルにより、太陽エネルギーはドイツ東部でドイツ西部よりも強く減衰した。
エアロゾルの放射効果は、毎日の太陽光発電の予測で確実に考慮されるべきものである。ライプニツ対流圏研究所(TROPOS)のハルトヴィッヒ・デネケ(Dr.Hartwig Deneke)博士の研究グループは、衛星データを使用して、雲やエアロゾルの特性を研究し、太陽光線や地上放射線への影響を測定している。

この研究では、日射量の地上測定の研究は基準として重要であることも強調されている。なぜなら、ソーラー設備上の実際の太陽光エネルギーは大きく変動し、これまでの大気質モデルでは、部分的にしか予測できないからである。
TROPOSのヨナス・ヴィットフーン(Jonas Witthuhn)氏は、「我々の研究では、1年分しか調査できなかったが、日射量と大気質は年月によって大きく異なる場合があるので、次のステップでは2003年から2021年までの長い期間で評価し、2015年の調査結果が、他の年にも当てはまるかどうかを知りたいと考えている」と述べた。太陽光発電の出力予測を改善することで、ドイツの電力網事業者だけではなく、世界中の電力網事業者にも利益となる可能性がある。

[DW編集局]