[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
高等教育・研究・イノベーション省(MESRI)
元記事公開日:
2021/12/14
抄訳記事公開日:
2022/03/11

「パリサンテ・キャンパス」開設 健康イノベーション計画2030のフォローアップ委員会の設置

Inauguration de PariSanté campus et installation du comité de suivi du plan innovation santé 2030

本文:

2021年12月14日付高等教育・研究・イノベーション省(MESRI)の標記発表の概要は以下のとおり。

デジタル医療に特化した官民共同の研究機関「パリサンテ・キャンパス」が2021年11月、パリ市内にオープンした。大統領発表の「健康イノベーション計画2030」に基づいて設置され、医療のデジタル化の研究と人材育成、関係する起業を促し、イル・ド・フランス地域圏、国内、国際地域でのパートナーシップに開かれた、医療向けデジタル技術に特化したセクターを構築することを目的としている。

国立保健医学研究所(INSERM)、国立情報科学・自動制御研究所(INRIA)、パリ科学人文学大学(PSL)、ヘルスデータハブ(HDH)、デジタル医療機構(ANS)の5機関が創設メンバーとして参加している。
12月14日に行われた開所式で、ジャン・カステックス首相は「こうした施設を整備したことは、われわれが国を順調に立て直しつつあると内外に強力なメッセージを発することになる」と述べた。
また政府は、「健康イノベーション計画」の達成状況を検証する、第三者検証委員会も設置すると発表。サノフィ・フランス社の社長で、産業・医療技術部門戦略委員会の委員長であるオリビエ・ボギロット氏が議長を務める。

■「2030年医療イノベーション計画」とは
一連のコロナ禍を教訓として2021年6月にマクロン大統領が発表した、医療・福祉分野の計画。2030年までの目標として、「生命医学研究に10億ユーロ投資」「バイオ、デジタル医療、感染対策の3分野への投資強化」「臨床分野における欧州でのパイオニアの地位確立」――など7項目を掲げ、総額で70億ユーロ以上を投じるとしている。

■ 研究・イノベーションの促進策
首相は、イノベーション医療へのアクセスの観点から、今年から社会保障財政法(LFSS)に多数の措置が取り込まれていることを歓迎している。
▽ダイレクトアクセス、つまり、高等保健局の意見が得られればすぐに、患者への医療サービスの向上をもたらす医薬品の提供が許可される。
▽病院での高価なイノベーション医療への患者のアクセスは、2022年1月1日から容易になる。
▽医療製品の価格設定に際し、産業上の課題の考慮度が2022年から高まる。フランスにおける不足のリスクを抑え、供給の安全性を高めるために、この措置は投資家に対して、最も重要な有効成分の生産の移転と、柔軟な生産能力の獲得を奨励する。
▽患者の臨床的利益または我々の医療システムの組織的利益が認められる場合の、遠隔監視支援の一般化。これは、すべての治療分野における共通の権利のサポートである。2022年初めに実施するための協議が進行中である。
▽個人保護委員会(CPP)の負担軽減に関連した臨床試験の倫理的評価に関する追加リソース増(500万ユーロ)により、2022年の初めから、意見の提出期限を最適化することができる。
▽2022年には、医療製品に関連する払い戻し支出が10億ユーロ増加するという前例のない増加が発生する。

首相は、生物医学研究の強化に10億ユーロ以上の予算が大統領によって発表されている旨喚起し、また、特に将来への投資計画(PIA)からの6億5,000万ユーロのデジタル医療促進戦略の存在を指摘した。

さらに、このイノベーションのダイナミクスを支援するために、首相は、医療イノベーション機構を2022年初頭に設立する旨発表した。

■フランスおよび欧州の医療における産業再興への支援

2020年9月以降、フランス復興計画では、フランスの主権にとって重要な医療製品のフランスでの生産をすでに大規模に支援している。合計で、政府は166件のプロジェクトを支援し、産業投資額で14億2,000万ユーロを達成した。これには、8億1,600万ユーロの国による援助が含まれる。

「革新的な治療法のバイオセラピー・バイオプロダクション」加速戦略の今後の展開は、バイオセラピーの開発を支援し、もはや外国のバイオセラピーに95%依存しないようにするために、フランスの産業構造を強化するという視点と完全に一致している。

欧州レベルでは、欧州連合(EU)が将来の戦略的治療分野のリーダーとしての地位を確立できるようにすることが優先課題である。

[DW編集局+JSTパリ事務所]