[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツがん研究センター(DKFZ)
元記事公開日:
2021/12/15
抄訳記事公開日:
2022/03/14

がん予防計画:ドイツにおいて有効にタバコを規制するチャンス

Nationaler Präventionsplan: Chance für eine wirksame Tabakkontrolle in Deutschland

本文:

2021年12月15日付ドイツがん研究センター(dkfz/ヘルムホルツ協会)による標記報道発表の概要は以下のとおりである。
「がん予防計画を作成する」という連邦政府の公約は、現在の連立政権の合意事項である。健康とがん予防について決定的に重要なことは、依然として私たちの健康の最大の危険因子である喫煙とタバコの消費に対する一貫した戦いであろう:したがって具体的な措置と拘束力のある実施スケジュールを備えた強制的なタバコ規制戦略を、国家がん予防計画の中に盛り込むべきである。これが、dkfzが第19回ドイツ・タバコ規制会議に当たって求めていることである。
ドイツではタバコの消費を確実に減少させると実証されている効果的な措置が、今日までなされてきたとは言えない。ドイツでの新しいがん症例のほぼ20%は、だれも喫煙しなければ予防可能なものである。
タバコ業界は想定される問題の解決者として振る舞おうとしている。加熱式タバコや電子タバコなどの新製品は、メーカーの主な製品である紙巻タバコにより、自身が引き起こしてきたタバコに関連した大きな健康問題を防ぐことを狙ったものである。
このことは、ドイツ・タバコ規制会議(2021年12月16,17日)にdkfzが発表した出版物に示されている。企業が宣伝している「害軽減」の原則は、喫煙によって結果としてもたらされる損害から消費者を保護することを目的としているが、同時に消費者のタバコ依存性は維持されたままになっている。この原則によれば、消費者の健康を守るために消費を完全にストップすることなく、長期的な消費者が生み出されていくことになる。
dkfzのがん予防事務所とWHOタバコ管理コラボレーション・センターの代理責任者であるカトリン・シャラー(Katrin Schaller)氏は次のように述べている。「企業は被害軽減を優先してはいるが、商業的利益によって動いている。喫煙が社会的に受け入れられず、規制措置によってタバコの販売が困難になっている状況では、巧妙な手口である。企業の目的は、自社製品の販売を確保し、厳しい規制を防止することである」。
国民の健康を守り、効果的ながん予防を促進させるために、新連立政権は、タバコのないドイツ2040戦略の策定と実施にコミットするよう求められている。そのための第1歩は、拘束力のある実施のためのタイムテーブルと具体的な措置とを備えた、強制的なタバコ規制戦略を、国家がん予防計画の中で文書化することである。

[DW編集局]