2022年1月4日付高等教育・研究・イノベーション省（MESRI）の標記発表の概要は以下のとおり。

政府は、国立の量子コンピューティング・プラットフォームの立ち上げを発表した。
この発表は、2021年1月21日にマクロン大統領が発表した量子技術に関する国家戦略に沿うもので、量子技術を「フランスの戦略的主権と優位性の主要課題」と定義している。

2021年から25年に計18億ユーロを量子技術開発にあて、うち10億ユーロは、「将来への投資計画」（PIA）を介して国から資金支援を受ける。2030年までにこのセクターで16,000人の雇用創出を目指す。

このプラットフォームは、PIA からの初期投資額が7,000万ユーロ、総目標額が1億7,000万ユーロ。従来のシステムと量子コンピュータを相互に接続し、研究室、スタートアップ、産業界で構成する国際的なコミュニティで利用できるようになる。目的は、量子コンピューティング機能を容易に活用できるようにし、そうした活用例を発展させてテストできるようにすることである。国立情報学・自動制御化研究所（INRIA）の支援を受けて、原子力・代替エネルギー庁（CEA）の軍事応用局（DAM）にある超大型コンピューティングセンターでホストされる。

量子技術は、軍事面での戦略的優位を確保するために重要なツールになる。特に時間や重力、極めて強い磁場を高い精度で測定するセンサーが開発されて応用されれば、量子コンピューティングによって複雑な計算問題の解決でき、より詳細なモデリングや物理現象の正確なシミュレーション、データの大規模な処理が可能になる。

このプラットフォームにアクセスすることで、軍や国防関係のコミュニティ全体が量子の専門知識を培い、将来的な戦いでの優位性を高められるようになる。

今回のコンピューティング・プラットフォームの立ち上げは、量子技術分野のエコシステムを統合し、その強みを利用する上で、フランスにとって重要なステップである。

[DW編集局+JSTパリ事務所]