[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国家科学技術会議(NSTC)
元記事公開日:
2022/01/06
抄訳記事公開日:
2022/03/30

放射線生物学研究の推進に関するNSTC報告書

Radiation Biology: A Response to the American Innovation and Competitiveness Act

本文:

2022年1月6日付けの米国科学技術会議(NSTC)による標記報告書の概要は以下のとおりである。

NSTC科学委員会傘下の物理科学小委員会(PSSC)は、米国イノベーション・競争法(AICA:American Innovation and Competitiveness Act)に対応し、放射線生物学に関連する連邦政府の取り組みの調整を強化し、関連する米国投資の効率と効果を最大化することを目指す。そのために、次の責務を有する。

1) 放射線生物学における政策イニシアチブについてNSTCに助言する。
2) 国際協力を促進し、研究を活用する機会を特定する。
3) 国立標準技術研究所(NIST)、国防総省(DOD)、エネルギー省(DOE)、国土安全保障省(DHS)、労働安全衛生局(OSHA)、環境保護庁(EPA)、米国航空宇宙局(NASA)、原子力規制委員会(NRC), 国立科学財団(NSF)間の関係を調整する。
4) 生物系に対する電離放射線の長期的な影響を解明するための科学的課題を特定する。
5) 米国における低線量放射線研究の将来に向けた総合科学目標を策定する。

低線量・低線量率放射線の健康への悪影響に関するリスク推定は不確実であり、そのことが放射線防護のための適切な規制の曖昧さにつながっている。この不確実性を低減するための科学的アプローチを開発することは重要である。従って、放射線生物学研究の焦点の1つは、放射線リスク管理法を改善し、新しいガイドラインを策定する可能性である。このためには、生物系に対する低線量・低線量率放射線の影響に関する科学的知識を向上させ、低線量放射線被曝に伴うリスクをより正確に予測する改良された数学モデルを開発することが求められる。

この目標を達成するためには、幾つかの科学的分野において国内での集中的な取組みと国際協力が有益である。加えて、放射線生物学の分野で連邦省庁が協力して低線量放射線研究の優先順位を決め、省庁プログラム間の研究ギャップを特定し、そのギャップに対応する研究を指導し、研究成果を省庁間でコミュニケーションするための手段の役割を果たすことが、強く求められる。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]