[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2022/02/08
抄訳記事公開日:
2022/04/05

デジタル主権:半導体不足への対処と欧州の技術的リーダーシップの強化に向けた半導体法案

Digital sovereignty: Commission proposes Chips Act to confront semiconductor shortages and strengthen Europe's technological leadership

本文:

2022年2月8日付欧州委員会(EC)の標記発表の概要は以下のとおり。

欧州委員会はこのほど、欧州連合(EU)の半導体の技術・応用における供給の安全性、レジリエンス、技術的リーダーシップを確保するための、一連の包括的な措置を提案した。欧州半導体法(European Chips Act)は、欧州の競争力とレジリエンスを強化し、デジタル・グリーン両移行の達成に役立つ。

欧州半導体法は、欧州の強み(世界をリードする研究・技術の組織・ネットワーク、先駆的な機器メーカーを擁するなど)に基づいて策定され、顕著な弱点に対処する。同法は、研究から生産に至るまでの半導体セクターの繁栄とレジリエントなサプライチェーンをもたらす。430億ユーロを超える官民投資を動員し、加盟国および国際的なパートナーとともに、将来のサプライチェーンの混乱を防止、準備、予測し、迅速に対応するための措置を講じる。これにより、EUは、2030年に、現在の市場シェアの2倍の20%という野望を達成することができる。

欧州半導体法は、EUが、最先端チップの設計、製造、パッケージングにおける研究・技術を超えて、この分野のリーダーとなり、半導体の供給を確保し、依存を減らすために必要なツール、スキル、技術的能力を持てることを確実にするものである。主要な構成要素は次のとおりである。

  • 「欧州のための半導体」イニシアチブは、既存の「重要技術デジタル共同事業体(Key Digital Technologies Joint Undertaking)」の戦略的再構成によって強化された「半導体共同事業(Chips Joint Undertaking)」を通じて、EUプログラムに関連するEU、加盟国、第三国、および民間セクターからのリソースをプールする。110億ユーロが利用可能になり、既存の研究、開発、イノベーションを強化し、革新的な実生活での応用のための、先進半導体ツール、プロトタイプ用のパイロットライン、新規デバイスの試験・実験の展開を確保し、スタッフのトレーニングを実施し、半導体エコシステムとバリューチェーンについての理解を深める。
  • 先端ノード、革新的でエネルギー効率の高いチップのイノベーションの発展に必要な、投資と高度生産能力を誘致することで、供給の安定性を確保するための新たな枠組み。さらに、半導体基金(Chips Fund)は、スタートアップがイノベーションを成熟させ、投資家を惹きつけるための資金へのアクセスを容易にする。スケールアップ企業や中小企業による市場拡大を支援するために、InvestEUのもとで半導体専用の株式投資ファシリティを設ける予定である。
  • 半導体の供給を監視し、需要と不足を予測するための加盟国と欧州委員会の間の調整メカニズム。企業から重要な情報を収集して主要な弱点とボトルネックをマッピングすることにより、半導体のバリューチェーンを監視する。これにより、共通の危機評価をまとめ、新たな緊急ツールボックスから、実行すべき施策を調整する。また、各国およびEUのツールを最大限に活用することにより、共同で迅速かつ断固とした対応を行う。

[DW編集局]