[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国家科学審議会(NSB)
元記事公開日:
2022/01/18
抄訳記事公開日:
2022/04/08

国家科学審議会(NSB)が「科学工学指標2022:米国の科学と工学の現状」を発表

U.S. is a keystone of the world’s science and engineering ecosystem

本文:

2022年1月18日付けの国家科学審議会(NSB)による標記記事の概要は以下のとおりである。

生態学では、弱めたり、取り除いたりすると他のすべてに影響が及ぶ、生態系全体にとって必要不可欠な種を「キーストーン種」という。NSBが本日発表した「米国の科学と工学の現状2022」は、世界の科学と工学の生態系にとって、米国がそのような「キーストーン種」であることを示している。

米国は、国家と地域の架け橋となり、集団と分野、そして分野同士を結びつけている。こうしたつながりが、次の画期的な発見を生み出し、構想からイノベーションへと発展させていく。一例として、2020年に発表されたコロナウイルス関連の論文を分析すると、世界の研究活動において米国は中心的存在であり、米国と世界中の研究者(特に中国と英国)との間に強い連携があることがわかる。

データの解析から、米国が世界の科学技術研究の中心であることは明らかであるが、データは緊急課題も幾つか提示している。その中には、米国の幼稚園から高校まで(K-12)のSTEM教育と学生の成績における、人口統計学的・社会経済学的カテゴリーと地域による格差や、高等教育の費用の高さが含まれる。また、米国は国内人材の育成だけでなく、海外人材も引き続き迎え入れなければならない。例えば、コンピュータサイエンス、数学、工学の分野では、博士号取得者の60%近くが外国生まれである。

本報告書のその他のハイライトは次のとおり。

  • 研究開発費:米国は研究開発費で世界をリードしている。2000年には非常に少なかった中国が、現在では研究開発費の第2位となっている。米国(世界全体の27%)と中国(23%)を合わせると、世界の研究開発費の約半分を占める。
  • 基礎研究:米国は依然として基礎研究への最大の投資国である。中国の3倍超の投資であるが、連邦政府による基礎研究への資金提供の割合は減少している。
  • 出版物:中国は数年前に米国を抜き、科学技術論文の世界最大の生産国となったが、米国の著者の論文が最も多く引用され、次いで中国および欧州連合の著者の論文が引用されている。
  • 研究開発集約型産業:米国は研究開発集約型サービスの最大生産国で、これらの産業が生み出す付加価値生産の世界シェアは、2010年の31%から2019年には37%(1兆ドル)に拡大している。中国は、2011年に米国を抜いて、研究開発集約型製造業の生産高で最大の生産国となっている。中国は、その世界シェアを2010年の18%から2019年には31%(2兆ドル)に増加させた。
  • 高等教育:科学技術分野の博士号取得者数では米国が世界をリードしているが、中国は米国とほぼ同数の博士号を授与しており、インドも劇的に増やしている。コロナ・パンデミックにより米国の高等教育機関に在籍する科学工学分野の留学生が減少しており、2019年から2020年にかけて約8万人減少した。
  • STEM労働力:STEM労働力は、STEMの知識や専門知識を必要とするさまざまな職業に就く3,600万人以上の人々で構成されており、米国の総労働力の23%を占めている。2019年、STEM労働者は非STEM労働者と比較して2万ドル以上高い給与を得ている。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]