[本文]

国・地域名:
英国
元記事の言語:
英語
公開機関:
政府科学局(GO-Science)
元記事公開日:
2022/01/26
抄訳記事公開日:
2022/04/12

医療を超えたゲノミクス:ゲノム科学の今後の活用と考察

Genomics Beyond Healthcare: future uses and considerations of genomic science

本文:

2022年1月26日付の政府科学局(GO-Science)の標記発表の概要は以下のとおり。

政府科学局がこのほど発表した新たな広範囲にわたる報告書「医療を超えたゲノミクス(Genomics Beyond Health)」では、スポーツから教育、犯罪対策に至るまで、ゲノミクスが将来我々の生活にどのように関わるかを調査している。

これまで、ゲノミクスは主に医療や医学研究で活用されており、より正確な診断を提供し、より良い治療を目指し、特定の疾患の発症リスクの予測に役立っている。英国の医療におけるゲノミクスの活用は世界をリードしており、ウイルス・ゲノミクスは COVID-19 のモニタリングや新たな変異体の検出に不可欠である。

この報告では、ゲノムが、医療だけでなく、人々の形質や行動に対するどのような識見を提供できるのか、そして我々のDNAコードの研究が社会にどのように便益や課題をもたらすのか、について調べている。

かつては数年かかり、数十億ポンドの費用がかかっていたヒトゲノム全体の解析は、今では1日もかからず、費用は約800ポンドである。技術が成熟し続け、その活用法が広がるにつれ、政策と規制がゲノム科学の発展にどのように適応していくのかについて、より焦点を当てる必要がある。報告書は、英国市民のゲノム配列のプライバシー、匿名性、セキュリティの形成・確保に役立つ政策と規制を策定する際に、これらの急速な技術的・科学的進歩を考慮する必要があることを提言している。

ゲノミクス技術は、初期段階ではあるが、原理的には、自動車保険の費用を決定したり、子供の学業成績を支援したり、刑事司法制度における意思決定のあり方を決定するような形質や行動を予測することが可能である。

これらの概念は明らかに我々の社会に倫理的な問題を提起するが、これらの問題を探求することにより、情報に基づいた決定を行うために、我々は十分に検討し、広く関与することができる。

■考慮すべき重要な問題

・スポーツ
特定の遺伝子の変異体は、エリート・アスリートの運動能力に関連付けられる。理論的には、遺伝子編集技術が、運動能力を潜在的に向上させるために違法に使用される可能性がある。
・教育
教育および認知の結果に関連する1,000以上の遺伝子が特定されており、学習障害のある生徒に合わせた教育を支援するために使用される可能性がある。

[DW編集局]