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- 国・地域名:
- 米国
- 元記事の言語:
- 英語
- 公開機関:
- 全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)
- 元記事公開日:
- 2022/02/09
- 抄訳記事公開日:
- 2022/04/25
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NASEM、連邦政府の新たな化学工学投資を提言
- 本文:
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2022年2月9日、全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)は「化学工学の新たな方向性(New Directions for Chemical Engineering)」と題する新しい報告書を発表した。標記記事の概要は次のとおり。
報告書は、世界的なリーダーシップを維持し、医学を進歩させ、エネルギー転換を促進し、食料と水をより安全で持続可能なものにするなどの社会的課題に対処するためには、米国の化学工学への新たな投資が必要であると述べている。
報告書は、化学工学の研究、イノベーション、教育の将来についてのビジョンを示している。過去1世紀の間に、化学工学は医療機器に使用できる安定したポリマーの発明、農業で緑の革命を可能にした合成肥料の開発、日常の電子機器に使用される材料の創造と生産などの進歩をもたらした。この進歩を続けるためには、新しい投資、協力、そして教育が必要である。
■米国のエネルギーの脱炭素化
連邦政府の研究資金は、低炭素エネルギー源への移行を可能にする技術、炭素をほとんどまたは全く使用しない新技術、および費用効果の高い炭素の回収・貯蔵技術の開発に焦点を当てるべきである。■学生への投資
大学の化学工学部門は、次世代のエンジニアが将来の課題に対応できるように、学部のカリキュラムを変更する必要がある。大学院生には、より実践的な学習の機会を与える必要があり、大学や業界は大学院生をインターンシップに参加させる際の障壁を取り除くことに取り組むべきである。女性または有色人種である化学工学学生の採用定着を改善するために、学部課程の工学部は、特にコミュニティ・カレッジからの転校生の支援に力を入れ、効果的なメンタリングと支援の体制を構築する必要がある。大学院プログラムは、このような過小評価グループの障壁を取り除くために、入学基準の変更を検討する必要がある。■ターゲットを絞ったアクセス可能な医療
連邦政府の生体分子工学への研究投資により、個別化医療の進歩、医療費削減および医療における公平性とアクセスの問題に対処するための工学的アプローチの開発に焦点を当てるべきである。■食品、水、空気
化学工学が環境汚染の一因となったことを認識し、化学工学者は食品、水、空気の品質と持続可能性の改善を支援することができる。水の力学と構造に関する理解を深め、水から汚染物質を除去できる分離技術を進歩させる研究に、連邦政府が資金提供するべきである。■製造と循環経済
連邦政府の研究資金は、材料や資源が完全に消費されるのではなく、製造と生産で再使用または別の目的で再利用される循環経済に移行するために必要な革新的技術に焦点を当てる必要がある。■国際協力
すべての研究分野で化学工学者がセクターや分野を超えて、国際的に協力することが重要である。米国の研究者と、他国の化学工学の強みを結び付けることを目的として、この協力を支援するための資金を確保する必要がある。 [DW編集局+JSTワシントン事務所]