[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州委員会(EC)
元記事公開日:
2022/02/23
抄訳記事公開日:
2022/05/06

データ法:欧州委員会が公正で革新的なデータ経済に向けた措置を提案

Data Act: Commission proposes measures for a fair and innovative data economy

本文:

2022年2月23日付、欧州委員会(EC)の標記発表の概要は以下のとおり。

欧州委員会(EC)はこのほど、経済セクター全体にわたって欧州連合(EU)で生成されるデータを、誰が利用・アクセス可能かに関する新たな規則を提案した。データ法は、デジタル環境の公平性を確保し、競争の激しいデータ市場を刺激し、データ主導のイノベーションの機会を開き、すべての人がデータにアクセスしやすくする。それにより、新たな革新的なサービスのほか、アフターマーケットサービスや接続オブジェクト修理のより競争力のある価格につながる。欧州委員会のデータ戦略における最後の水平的基盤構成要素である本データ法は、2030年デジタル目標に沿って、デジタル変革において重要な役割を果たす。

データは、街灯や景観と同じように非競合的なものである。多くの人が同時にそれらにアクセスでき、品質に影響を与えたり、供給が枯渇したりするリスクを冒すことなく、何度も何度も消費することができる。データの量は、2018年に生成された33ゼタバイトから、2025年に予想される175ゼタバイトまで、絶えず増加している。これは未開拓の可能性であり、産業データの80%は使用されていない。データ法は、データの使用率が低下する原因となる法的、経済的、技術的な問題に対処する。新規則により、より多くのデータを再利用できるようになり、2028年までに2,700億ユーロのさらなるGDPが創出されると期待される。

■データ法の提案内容

・ 接続されたデバイスのユーザーが、自らが生成したデータ(多くの場合、メーカーによって独占的に収集されている)にアクセスできるようにするための手段。そして、そのようなデータをサードパーティと共有して、アフターマーケットまたはその他のデータ主導の革新的なサービスに提供する。転送関連のコストをカバーし、製品と直接競合する共有データの使用を除外することにより、メーカーが高品質のデータ生成に投資し続けるインセンティブを維持する。
・ データ共有契約における契約上の不均衡の乱用を防止することにより、中小企業の交渉力を再調整するための措置。データ法は、非常に強力な交渉の立場を持つ当事者によって課される不公正な契約条件から彼らを保護する。欧州委員会はまた、そのような企業が公正なデータ共有契約を起草し交渉するのを援助するべく、モデル契約条件を策定する。
・ 公共セクターの機関が例外的な状況、特に洪水や山火事など、公共の緊急事態の場合に必要な民間セクターが保持するデータにアクセスして使用するための手段、またはデータが他に利用できない場合の法的義務を実施するための手段。企業の負担を最小限に抑えながら、迅速かつ安全に対応するには、データに関する識見が必要である。
・ 顧客がさまざまなクラウドデータ処理サービスプロバイダを効果的に切り替え、違法なデータ転送に対する保護手段を導入できるようにする新たな規則。

さらに、データ法は、データの構造化表示への投資を保護するべく1990年代に作成された「データベース指令」の特定側面を見直している。特に、モノのインターネット(IoT)デバイスおよびオブジェクトからのデータを含むデータベースは、個別の法的保護の対象とすべきではないことを明確にしている。

■消費者および企業

消費者や企業は、デバイスのデータにアクセスして、予知保全などのアフターマーケットや付加価値サービスに使用できるようになる。より多くの情報を持つことにより、消費者や農家、航空会社、建設会社などのユーザーは、より高品質またはより持続可能な製品やサービスを購入するなど、より適切な意思決定を行うことができ、グリーンディールの目標に貢献する。

■企業および産業プレーヤー

企業および産業プレーヤーは、より多くのデータを利用でき、競争の激しいデータ市場から利益を得ることができる。アフターマーケットサービス・プロバイダは、より個別化されたサービスを提供し、メーカーが提供する同等のサービスと同等の立場で競争できるようになる。また、データを組み合わせてまったく新しいデジタルサービスを開発することもできる。

[DW編集局]