（2022年3月17日付高等教育・研究・イノベーション省（MESRI）の標記発表の概要は以下のとおり）

フランス政府は「医療イノベーション計画2030」の一環として、バイオクラスター形成をにらんだ「関心表明」を公募すると発表した。世界的規模のクラスター３か所を作ることを目指す。

■バイオクラスターの役割
「フランス2030計画」から3億ユーロが充てられるこのバイオクラスターの「関心表明」公募は、最大3か所のグローバル・バイオクラスターを出現させることを目的としている。

各バイオクラスターは、米マサチューセッツ州の「ボストン・バイオクラスタ」をモデルとし、ワンストップを推し進めてネットワークを作り、産業界、研究、医療、教育などの主なプレーヤーを1か所に集める。さらに地方自治体による強力な取り組みの恩恵を受けて、その求心力を確立する。

バイオクラスターの任務は、企業をひきつけて誘致してプラットフォームにアクセスさせ、大学、研究機関、医療施設との官民パートナーシップを促すことにある。さらに新興企業を育て、学際的な人材育成と産業界のニーズを満たす非常に高度な研究を進め、地方自治体の地域開発がスムーズに進むよう、自治体と独自に連絡を取ることである。中核的研究拠点（COE）として、国際的な研究者や臨床医、新興企業やグローバル企業をクラスターに引きつけ、フランスの生物医学研究の変革を促すことも求められる。

■「IHU」プロジェクト3回目の公募も
また政府はあわせて、国内の大学病院研究院（IHU）プロジェクト公募の第三弾も始めると発表した。

「将来への投資計画」（PIA）に基づいて始まったIHUの施策により、2010年には、生物医学分野の研究、医療、人材育成、技術移転に関わる中核拠点を6か所指定でき、2018年には、2回目のプロジェクト公募により、7か所目も指定できた。今回は3回目のプロジェクト公募となり、新たに4〜6か所の新たなIHUを創設することを目的としている。

今後の新規IHUは、これまでに指定された7か所のIHUの例から教訓を引き出すことで、競争力や求心力を強化し、研究成果を、製薬やバイオテク、医療技術の業界に対してのみならず、患者や住民に有効活用したり還元したりすることも目指す。

[DW編集局+JSTパリ事務所]