[本文]

国・地域名:
EU
元記事の言語:
英語
公開機関:
欧州防衛機関(EDA)
元記事公開日:
2022/03/25
抄訳記事公開日:
2022/05/16

EDAの2021年年次報告書の公表

EDA’s Annual Report 2021 is out!

本文:

(2022年3月25日付、欧州防衛機関(EDA)の標記発表の概要は以下のとおり)

特に欧州連合(EU)の国境に沿ってますます緊張する戦略地政学的環境で(ロシアのウクライナ侵攻によって生じた)脅威が高まる中、欧州防衛機関(EDA)は昨年2021年、EUの防衛協力を前進させるためにすべての主要な取り組みに関与した。戦略的コンパスの策定(最終的にこのほど採択)と防衛イノベーションに関する閣僚級の議論、常設軍事協力枠組(PESCO)と欧州防衛基金(EDF)が資金提供するプロジェクトの実施、第2次の防衛に関する統括年次レビュー(CARD)サイクルの開始、などである。今回公表された2021年年次報告書は、過去1年間にEDAのさまざまな活動領域で達成された作業の包括的な概要を記述している。

本報告書は、EUの防衛イニシアチブ(CARD、PESCO、EDF)の実施における中心的な役割や、防衛研究・能力開発プロジェクト・プログラムの数の増加(2020年と比較して+11%)から、防衛協力のための新たな実現策・インセンティブの立ち上げや、より広範なEU政策に向けたEDAの増大する橋渡しの役割に至るまで、EDAの幅広い活動の進捗状況を反映している。

以下、報告書の中から共同研究・技術・イノベーションに関する記述を紹介する。

▽機能・技術グループ(CapTechs)

2021年を通じて、各加盟国は引き続き、EDAの専門能力とインセンティブを活用して、追加のアドホックな研究・技術プロジェクトをEDAに持ち込んでいる。新規プロジェクトが開始され、人工知能、陸上システム、ロボット技術と自動化、革新的な材料、電子部品などの主要領域で進展があった。2021年後半には、46件の新規研究・技術プロジェクトが俎上に上っている。約40件の進行中のアドホック研究・技術プロジェクトからなるEDAの既存の研究・技術ポートフォリオに、さらに新規プロジェクトが追加され、全体の価値は約2億3,300万ユーロになる。欧州委員会(EC)の尽力により、デュアルユースの相乗効果が体系的に追求された。

▽新たな破壊的技術

EDAは、人工知能(AI)、ビッグデータ、量子技術、ロボット技術、自律システム、新先端材料、ブロックチェーン、超音速兵器システム、人間の強化に適用されるバイオテクノロジーなど、新興・破壊的技術(EDT)に焦点を当てたいくつかのプロジェクトに関与している。これらはすべて、防衛に破壊的な効果をもたらし、将来の軍事能力、戦略、作戦に革命をもたらすと予想されている。EDAは、EDTの状況を監視し、コラボレーションの機会を特定するために、能力主導型の新興・破壊的技術行動計画(Capability-Driven Emerging Disruptive Technologies Action Plan)を策定した。さらに、2021年に、自律システムやエネルギーと宇宙に関する専用の戦略的研究アジェンダなどの横断領域に関する行動計画の作成を開始した。これらは、時間の経過とともに、より統合された視点で分野横断的な技術開発を可能にする。さらに、量子センシング、超高速システム、メタマテリアルの領域で、新たな実現可能性調査とコミュニティ構築活動が2021年に開始された。

[DW編集局]