[本文]

国・地域名:
フランス
元記事の言語:
フランス語
公開機関:
首相官邸
元記事公開日:
2022/03/17
抄訳記事公開日:
2022/05/17

政府、「経済・社会の回復」計画を発表 物資、エネルギー、食糧供給の自立目指す <1>

Plan de résilience économique et sociale : France 2030 mobilisé pour sécuriser l'approvisionnement en intrants critiques, renforcer la souveraineté énergétique et renforcer la souveraineté alimentaire de l’Europe

本文:

フランスのカステックス首相(当時)(※注)は3月16日、「経済・社会の回復」計画を発表した。ロシアによるウクライナ侵攻を踏まえ、生産に必要な物資を安定的に確保し、エネルギー源やヨーロッパの食糧供給源の自立を強めることを目的とする。マクロン大統領が昨年10月に発表した5か年計画「フランス2030」にもとづいている。デイリーウォッチャー編集局は、政府が当日リリースした内容を翻訳、再構成し、3回に分けて概要を紹介する。

(※注:本記事をリリースする前日の5月16日、カステックス氏はマクロン大統領に辞表を提出し、受理され、同日にボルヌ労働・雇用・社会復帰大臣が新首相に指名された)

【第1回】重要投入資材の供給確保

今回の「経済・社会の回復」計画は、あらゆる手段を動員して企業を支援し、エネルギー、農業、工業分野での供給源の多様化を加速させることを目的としている。これには、 外交的アプローチ、欧州貿易政策、国際協力の確立など、国際的なパートナーに利用できる手段も含まれる。

政府は、5か年計画「フランス2030」の開始以来、フランスの産業・技術の独立性を最優先事項としてきた。また「フランス・ルランス」(復興計画)によって産業の再建、移転、脱炭素化の大規模な動きを始めたことで、戦略的自立を強化し、他地域への依存を減らすことができた。

同じ論理で「2030」は、フランスの回復力を強化し、戦略的セクターにおける国内および欧州における産業の出現を資金面で支援する強力な促進策となった。ヴァラン報告書によって行われた作業と、この主題に充てられた フランス2030 のリソースにより、戦略的金属はすでに資金支援の恩恵を受けている。

中長期的には、特に「2030」の措置によってロシアからの資材投入に頼らずに工業基盤を強め、さらに欧州レベルで依存関係を低めることによって、回復力の向上を見込む。同時に、信頼できる第三国との新たなパートナーシップの確立により、金属の供給や重要投入資材の確保と多様化を可能にする。

今回の「回復計画」では次のような措置を予定している。

▽この措置は、短期的に戦略的供給を確保し、中期的に回復力の強化を目的とする。これには、特に、最も重要な投入資材(アルミニウム、チタン、パラジウム、プラチナ、ガスレア、タングステン)に関する特定の作業によって補完される、短期的に最も適切なソリューションの策定を目的とする戦略的供給に関する分野横断的な作業部会の創設が含まれる。
▽特に分野横断的な実証プロジェクト公募が開始されるが、これにより対ロシア戦略的依存への対処を可能にするすべてのプロジェクトの支援が可能になる。
▽さらに、重要金属の領域では、元フランス工業会会長のフィリップ・ヴァラン氏が率いる特命チームが任命された。このチームは、金属に関する省庁間代表の任命、鉱物情報に関する地質・鉱山研究所(BRGM)リソースの強化によって補完される。
▽輸入原材料を確保するための特命チームの設置、2022年の肥料の安定供給に影響を与える可能性のある規制措置の適用やその延期、有機肥料の使用展開など、今後の戦況に備えて肥料を確保する計画。

特にフランスの生産部門において、ロシアやベラルーシへの依存に対処するプロジェクト支援のために、分野横断的な実証プロジェクトの公募が始まる。これらには、冶金部門の戦略的原材料(ニッケル、アルミニウム、銅、チタンなど)、鉄鋼業界向けの特定の消耗品(グラファイト電極、鉄ブリケット、耐火物など)、特定の化学工業製品(カーボンブラック、レアガスなど)、農業・農産食品セクターへの重要な投入資材(動物飼料用の肥料、ヒマワリ油、油かすなど)が含まれる。

(第2回につづく)

[DW編集局+JSTパリ事務所]