[本文]

国・地域名:
ドイツ
元記事の言語:
ドイツ語
公開機関:
ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
元記事公開日:
2022/03/22
抄訳記事公開日:
2022/05/18

地下水にもっと注目しよう

„Grundwasser verdient mehr Aufmerksamkeit“

本文:

(2022年3月22日付、ドイツ連邦教育研究省(BMBF)による標記報道発表の概要は以下のとおり)

地下水は生命に重要な資源であり、多様で、これまでほとんど研究されていない生態系を宿している。クラウス・シュヴェンク(Prof. Klaus Schwenk)教授とのインタビューでは、なぜそれを深く理解し、保護する必要があるのかについて説明している。
シュヴェンク教授は、国連による毎年3月22日の「世界の水の日」に因んで、水の重要性について注意喚起している。地下水は飲料水の最も重要な供給源で、ドイツでは飲料水の70%が地下水由来である。地下水はここ数十年でますます様々なストレスに晒されている。

――生息地としての地下水はどのようなもので、そこには何が住んでいるか?
「ドイツでは500種に上る動物が地下水中に生息している。また、浄水機能を持つ地下水中生物は、清潔な飲料水の確保に大きく貢献している」

――教授の関心ある生物・動物は?
「私が好きな生物はまだ発見されていない種である。地下水生物の出現・分布に注目することで、生態学的な状態、ひいては地下水の水質についての根本的な結論を得ることができる」

――現在BMBFプロジェクト「生物学的飲料水と地下水管理(Bio-TGW)」で、地下水生物をよりよく追跡する方法を研究しているが、検出する上での課題は何か?
「従来は時間のかかる顕微鏡的な方法で測定していた。Bio-TGWプロジェクトでは地下水生物を遺伝学的手法を用いて検出する方法を開発し、地下水サンプルに含まれるいわゆる環境DNA(eDNA)を探している。このような遺伝学的手法は非常に感度が高い。研究成果を基に、ドイツで初めて広い範囲の地下水中の種の多様性を記録することができた」

――地下水の取扱いと利用に関する調査から導き出される結論は?
「地下水の生態系への環境汚染は未来の世代に影響が出る。環境問題を次の世代に先送りすることを望まないならば、適切な方法で地下水の水質を総合的に把握し、予防措置を講じることを早急に着手する必要がある。さもないと、究極的に特別な生物との共生社会を失うだけではなく、飲料水の品質が持続的に低下するというリスクを冒すことになる」

――研究成果を一般に公開する方法は?
「Bio-TGWプロジェクトでは、2022年4月から10月まで、ノイエンブルク・アム・ラインで開催されるバーデン・ヴュルテンベルク州ガーデン・ショーの一環としての、地下水展示会で成果を発表する予定である。このガーデン・ショーの後、地下水展を、さらにドイツ各地で実施し、アクセスしにくい生態系を広く一般に公開し、地上の生息地と同じように地下水生態系に対しても注意が払われるようにしたいと考えている」

[DW編集局]