[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
国家科学技術会議(NSTC)
元記事公開日:
2022/03/03
抄訳記事公開日:
2022/05/18

宇宙天気の「研究から運用へ、運用から研究へ」のためのフレームワーク

Space Weather Research-to-Operations and Operations-to-Research Framework

本文:

(2022年3月3日付、国家科学技術会議(NSTC)による標記発表は以下のとおり)

宇宙天気の研究から運用へ、および運用から研究へ(R2O2R)に対する公式の省庁間フレームワークがないことは、宇宙天気の予報と警告を改善する上での国家機能の重大なギャップとして、34の連邦機関で構成される宇宙天気運用・研究・緩和(SWORM)小委員会によって問題視されてきた。このギャップを埋めるため、「宇宙天気の研究と観測を促進して明日の予報を改善する(PROSWIFT)法」(公法No:116-181、2020年10月)が制定され、宇宙天気の研究モデルと機能を運用へと移行するためのフレームワークを設けるようにとの指示が出された。このフレームワークは、宇宙天気のR2O2Rプロセスを保証する公式の省庁間構造を指す。組織横断の基本構造は既に存在していたものの、連邦省庁、学術機関、営利企業、および国際的パートナーからの貢献を組み込むための形式が欠けていた。

研究から運用へ(R2O)、および運用から研究へ(O2R)のプロセスを強化するために必要なフレームワークは、大統領令13744、2021年度管理研究開発予算の優先順位に関する覚書、2019年国家宇宙天気戦略と行動計画(NSW-SAP)行動2.7、およびPROSWIFT法に対応したものである。当初、米国海洋大気局(NOAA)と米国航空宇宙局(NASA)によって主導されていたものが、包括的なフレームワークへと編成換えとなった。同フレームワークは「宇宙天気試験場」を形成し、利用者の要請に対応する高度な運用、サービス、科学技術機能の検証・実証を行う。ここには、国立科学財団(NSF)、国防総省(DOD)、米国地質調査所(USGS)、および学術機関、商業宇宙天気企業が組み込まれ、またエンドユーザーの進化とともに他の連邦機関も加わった。フレームワークの実施に関わる政府の資源コミットメントは、政府部門や機関の予算プロセスを通じて決定される。

移行のプロセスは、以下のとおり。
・運用への効率的な移行(R2O)
・予報担当者と運用者の機能評価と試験、およびデータや知識の共有による運用から研究へ(O2R)のフィードバック
・運用実験に基づく新規または更新された機能と将来機能の有効性や影響の判定

省庁間パートナーシップ活動のガバナンスは、執行委員会とR2O2R運営委員会に委ねられ、覚書で公式化される。執行委員会の役割は、R2O2R運営委員会による推奨事項の評価、機関内外の共通戦略調整、資金利用・資源へのコミットメント等である。R2O2R運営委員会の役割は、新たな覚書の作成、試験場の検証・実証機能の推奨、成果と計画のレビュー等である。

PROSWIFT法に基づくフレームワーク構成要素は以下のとおり。
・NASAの宇宙天気科学応用(SWxSA)イニシアチブ
・NOAAの宇宙天気予報センター(SWPC)
・米国空軍(USAF)の第557気象翼(557 WW)
・NASAのコミュニティ調整モデリング・センター(CCMC)
・NOAAの国家環境衛星、データ、および情報サービス(NESDIS)
・宇宙天気予報テストベッド(SWPT)
・CCMC-SWPC共同評価用アーキテクチャ(ACE)

R2O2Rプロセスの終点は、新たな、または改善された運用機能にあるが、稼働後は、継続的検証、微細な改善、コンピュータ・ハードウェアの更新に適応するための変更、予報者と利用者の訓練、結果を効果的に提示するための方法、モデル開発者の支援、将来モデルまたはサービス改善のための分析と識別等が必要となろう。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]