[本文]

国・地域名:
米国
元記事の言語:
英語
公開機関:
大統領府
元記事公開日:
2022/03/17
抄訳記事公開日:
2022/05/19

大統領府による「がん・ムーンショット」強化計画の第一段階

Fact Sheet: White House Announces Initial Steps for Reignited Cancer Moonshot

本文:

(2022年3月17日付、大統領府による標記発表は以下のとおり)

バイデン大統領は2022年2月2日、「がん・ムーンショット」計画の再活性化を発表した。今後25年間でがんによる死亡率を少なくとも50%低減させ、がん者とその家族の体験を改善し、がんの撲滅を目標とする。大統領とジル・バイデン大統領夫人は、省庁高官を含むがん閣議に出席し、「がん・ムーンショット」計画アジェンダの優先順位を定義し、各機関が新たなプログラムとコラボレーションから何が達成できるかを議論した。再活性化された「がん・ムーンショット」計画の第一段階は以下のとおり。

・ 次世代の多様で革新的ながん研究者育成のため、国立がん研究所(NCI)に新早期キャリア・フェローシップ・プログラムを創設。
・ 食品医薬品局(FDA)は、タバコ関連の罹患率と死亡率を削減するため、メントール製品基準規定とフレーバー葉巻製品基準規定を制定。
・ 国防総省(DOD)は、代表的な臨床研究プログラムを拡張し、2016年に「応用プロテオゲノミクスの組織学習と成果(APOLLO)」ネットワークを立ち上げた。このネットワークには13のDOD病院とVA病院が参加しており、肺がん等の8つの特定がんプログラムからスタートして、および全種のがんに対象を拡張している。
・ 退役軍人省(VA)は、粒子状物質への軍事環境被曝に関連して、9つの希少呼吸器がんに対する兵役との関連を推定するための規則の制定を開始。これは、喉頭、気管、および肺の腺がん、扁平上皮がんなど、そして肺の典型・異型カルチノイドを対象とする。
・ NCIは、貧困が続く地域において、十分な治療を受けられていない人々を臨床試験に結び付け、がん対策研究能力を構築。
・ 科学技術政策局(OSTP)は、大気汚染によるがんリスクの評価し、対処するための科学的支援を主導する。

政権による追加アクションは以下のとおり。

▽医療ケアおよび医療ケアサービスセンターは、肺がん患者の健康状態を改善するため、低線量コンピュータ断層撮影(LDCT)による肺がんスクリーニングの対象範囲を拡大。スクリーニング開始年齢を55歳から50歳に引き下げ、喫煙歴を年間30パック以上から20パック以上に下げる。

▽環境保護庁(EPA)は、空気と水の浄化に影響力のある以下の手続きを発表。
1) これまで資金が投入されていなかった49のスーパーファンド・サイトおよびその他の数十サイトにおける浄化に10億ドルを投資し、翌年は80以上のスーパーファンド浄化プロジェクトを予定。
2)老朽化した上下水道システム、鉛配管などの更新に、2022年度に74億ドルが州に提供される。EPAは、400以上の新たな水プロジェクトに資金を提供。これにより数百万の米国家庭が「永久に残る化学物質」から防護される。

▽FDAは、不平等への対処、患者に対する標的治療、致命的希少がんへの対抗の迅速化、および患者からの経験学習を含む、以下のがん臨床試験ガイダンスを公表。
1.「がん臨床試験への高齢者の参加」は、治療薬の臨床試験に65歳以上の高齢患者を含めるための推奨事項を提供。
2.「拡張コホート:腫瘍薬および生物製剤の開発を促進するためのヒト初回臨床試験における使用」は、ヒト初回抗がん剤の安全性、薬物動態、および抗腫瘍活性の評価を可能にする拡張コホートによる試験の設計と実施に関する提言を提供。
3.「マスタープロトコル:腫瘍薬および生物製剤の開発促進のための効率的な臨床試験設計戦略」は、FDAへの提出情報を含むマスタープロトコル設計に対応。効率的レビューの促進と患者のリスク軽減のため、スポンサーにFDAとの対話を指導。複数の治験薬または生物製剤、複数の疾患タイプ、または複数の患者集団を単一の臨床試験構造下で評価。

[DW編集局+JSTワシントン事務所]